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2024/05/19 19:44 |
金にうるさい男が、無頓着になるまで
20代後半に、ある女性に出会いました。

彼女はダメ彼氏に入れ込んでおり、借金三昧の日々を過ごしておりました。
今思えば、彼女を見たら10人中15人は、「ダメ男に貢いでそう」とか言われそうな、幸薄そうな人でした。

暴力、借金、浮気という、ダメ男のロイヤルストレートフラッシュみたいな男に依存する彼女を、下心丸出しで救うべく、色々と話し合って、行動しました。
話し合いの中で一番驚いたのが、彼女の金銭感覚でした。
彼女は、そもそも今借金がどのぐらいあるのかも把握していませんでした。

当時からワーキングプアエストであった俺は、とてもとても金に細かい男でした。家計簿はもちろんのこと、収入と支出を1円単位で把握し、爪に火を点す思いで、特に意味もなくお金を貯めてました。今も当時も、自分の価値観が世界の価値観であると信じて疑わない狭量王である俺には、彼女の金銭感覚は、おおよそ理解しがたい価値観でした。

彼女は後に次のダメ男(俺)にひっかかり、そして俺は半年間駆け回って、様々な問題に対処し、最終的に、依頼した弁護士に彼女を寝取られるというオチがついてこの話は終わるのですが。

あたし。今は分かるよ彼女の気持ち。
いや、弁護士への浮気の方でなくて金銭感覚のほう。
俺も今、きっと同じ気持ちだもん。

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俺も結婚した当初は、従来の金銭感覚をひきずってました。
有史以来、1日たりとも欠かしていない家計簿記入も、もちろん続けてました。
新居に入ってまず最初にやったことは、使ってない電気のブレーカー落とすことでした。
無駄な支出は可能な限り減らし、手当や昇給に喜び、投資で少しずつお金を増やし。
通帳を眺めるのが、一番楽しい時間でした。

そんな俺ですから、正社員経験がほぼ無く、ジョブホッパーであり年金も払ってなかった嫁との金銭的価値観が合うはずもなく、壮大なケンカを何度もしました。

そしてついに、嫁が農業で起業しました。
ここはまだギリ耐えた。
立ち上げまで無収入だから、俺が頑張って養わないと!と、これまで以上に頑張りました。
生まれて初めての借金〇千万にも、毅然として立ち向かう覚悟でした。

でもね。
俺が頑張って、
「今月は残業増やしたから〇万円給料増えた!よーしこれでまた少し借金が減らせる!」
ってほくそ笑んでも、その日の夜には嫁から
「地下水の水質が悪いから、鉄を除去する機械が必要だわー。お値段百萬円ねーポチるわー」
「荷物置き場も必要だから、業者に頼んだわ五十萬円ねー。即決」
「ビニールハウスもうひとつ欲しいけど、業者に頼むと高いから自分ら(ら!?俺も?)で建てることにする。材料費二百萬円で済んだよ。私、買い物上手!」
無。
俺の表情は、北斗神拳奥義・無想転生よりも、無。
悲しみを拾うことで奥義を会得したわ。

こんなことを繰り返して、一年。
言葉にすればわずか2文字だが、人が腐るには十分な長さだって、るろうに剣心も言ってた。

もうね。どうでもよくなった。
これまでは心から嬉しかった、昇給や給料、ボーナスをもらえても、今の俺の心は完全に凪。
上司の「喜んでくれるだろうな」という期待に満ちた顔に対して、こんな時どんな顔したらいいかわからないの状態。笑えばいい?
逆に喜んであげられなくて、申し訳ない気持ちになる。
あんなに好きだった通帳も、もう半年記帳してない。現実を知りたくない。

あの時は理解できなかった、彼氏に借金詰けにされてた彼女の気持ち、今ならすごくよくわかる。
彼女もきっと、無想転生できたと思うわ。

2020/09/27 11:09 | Comments(0) | 日常

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