入院生活も後半に入り、とりあえず喋って動けるようになったあたりから、いろんな人が見舞いに来てくれた。
最初はやっぱり音楽仲間。
というか、ほとんど音楽仲間のみ。
バイオリンやってなかったら、確実に友達ゼロでした。あぶねーあぶねー。
予想外の人も、結構来てくれました。
高校生のイケメンが、同じ病室に入院してきたんですが。
もうこいつが、いちいち酷い。
観測史上初ってなぐらいに酷い。
病院には売店があるんです。
売店はコンビニみたいなもんで、いろんなものが売られてるんですね。
もちろん、たべものもいっぱい。
お菓子とかジュースとか、いっぱい売ってるんです。
でも。
でも。
こんなに物があふれているのに、お金だってあるのに。
俺には、絵に描いたモチなんです。
散歩ルートに売店も含めてまして、毎日買いもしないのに巡回してくるんです。
口が開くようになったら食べたいお菓子リストも、毎日更新です。
最初はあまり固くないものにしないとなー
パウンドケーキとかうまそーだなー
ゆくゆくはポテチとかも食べたいなー
そんな俺のささやかな夢。
それをあのイケメン（16）が、あっさり毎日のように叶えていやがるんです。
毎日のように売店でおやつを買ってきて、部屋でバリバリ食うんですよ奴は。
親に金をせびっては、おやつやマンガを買いまくるという狼藉を働くんです。
俺が武士なら、65535回は切り捨て御免してますよ。主に顔が原因で。
もう頭にきましてね。
頭にきて頭にきて、一周回って泣いてました。
口が開いて数日。
ギリギリ指が二本ぐらい、開くところまで来ました。
普段の摂取カロリーが少ないので、積極的に間食をしろと言われている。
ならば、夢をかなえるのは今しかないジャナイカ？
一通り泣いて、意を決して売店へ。
ついに、夢の買い物ですよ。
もうこいつが、いちいち酷い。
観測史上初ってなぐらいに酷い。
病院には売店があるんです。
売店はコンビニみたいなもんで、いろんなものが売られてるんですね。
もちろん、たべものもいっぱい。
お菓子とかジュースとか、いっぱい売ってるんです。
でも。
でも。
こんなに物があふれているのに、お金だってあるのに。
俺には、絵に描いたモチなんです。
散歩ルートに売店も含めてまして、毎日買いもしないのに巡回してくるんです。
口が開くようになったら食べたいお菓子リストも、毎日更新です。
最初はあまり固くないものにしないとなー
パウンドケーキとかうまそーだなー
ゆくゆくはポテチとかも食べたいなー
そんな俺のささやかな夢。
それをあのイケメン（16）が、あっさり毎日のように叶えていやがるんです。
毎日のように売店でおやつを買ってきて、部屋でバリバリ食うんですよ奴は。
親に金をせびっては、おやつやマンガを買いまくるという狼藉を働くんです。
俺が武士なら、65535回は切り捨て御免してますよ。主に顔が原因で。
もう頭にきましてね。
頭にきて頭にきて、一周回って泣いてました。
口が開いて数日。
ギリギリ指が二本ぐらい、開くところまで来ました。
普段の摂取カロリーが少ないので、積極的に間食をしろと言われている。
ならば、夢をかなえるのは今しかないジャナイカ？
一通り泣いて、意を決して売店へ。
ついに、夢の買い物ですよ。
病室は4人部屋になってるんですが、カーテンでベットの周りを完全にさえぎることが出来るんです。
こんな感じですね。
んで、テレビと冷蔵庫があります。
もちろん両方とも有料。
冷蔵庫は確か1日200円で、テレビは1時間100円ぐらいだったかと記憶。
貧乏という恵まれない階級で生きる俺には、とてもそんなＶＩＰな品々は高くて使えませんでした。
ちなみにパジャマも借りれば1日50円ぐらいだったかと。
もちろん持参してました。
4人部屋なんで、当然他の3つのベットにも人がいます。
入れ替わり立ち代り、いろんな人が入ってきます。
口腔外科に全然関係ない症状の人、たとえば網膜剥離の人とかもいました。
多分他の病棟で、ベットが無かったんでしょう。
大体の人が1週間ぐらいで退院していくので、俺は3人ぐらい見送りました。
俺の隣のおじーさんは俺が来る前から入院していて、俺が退院するときもまだ入院してました。
彼は週末だけ家に帰っていくんですが、それ以外はずっと病室のベットで寝ています。
昼夜問わず、ほとんど寝てます。
それも、すんごいイビキです。
喉とかそういった系に病を抱えているらしく、しょっちゅう洗浄とかしてはりました。
最初の頃こそ、うるさいなー眠れないよーとか思ってましたが、数日で慣れました。
そもそも俺も眠れてないし。
あと、毎晩子供が泣いてる声がしてた。
ホラーじゃなくて、実在する子供。
たまに母親と連れ立って歩くその子と廊下ですれ違って、ああこの子かとすぐ分かりました。
どーやらアトピーかなにかの皮膚病みたいで、痛々しい顔をしてました。
夜になると痛むんでしょう。
「痛いよぉー痛いよぉー」
と、涙声で訴え続けていました。
ある日、談話室でヒマそうにしてたのを見かけたので、同じぐらいヒマな俺が、一度だけＤＳのマリオカートで勝負しました。フルボッコにされました。
負けそうになると「傷が痛む」とか言うな。手加減しちゃうだろーが。
数日後、元気に退院していきました。
夜中に、誰かが逝かれたようです。
その家族が泣いてました。
なくなられたのは祖父と思われ、父親と思わしき人が、家族を慰めていました。
「泣くなや。じーちゃん最期まで頑張ったやろが。褒めたれや」
少し離れた病室で、俺も泣いてました。
ここは、死に近い人がたくさん集まる場所。
必死につなぎとめようとしても、消えていく命がある。
話変わるんですけど、ある日1人のイケメンが入院してきやがりましてね。
もうこいつが、いちいち酷い。
戦後最悪ってほどに酷い。
まぁ俺の話を聞いてくださいよ。
こんな感じですね。
んで、テレビと冷蔵庫があります。
もちろん両方とも有料。
冷蔵庫は確か1日200円で、テレビは1時間100円ぐらいだったかと記憶。
貧乏という恵まれない階級で生きる俺には、とてもそんなＶＩＰな品々は高くて使えませんでした。
ちなみにパジャマも借りれば1日50円ぐらいだったかと。
もちろん持参してました。
4人部屋なんで、当然他の3つのベットにも人がいます。
入れ替わり立ち代り、いろんな人が入ってきます。
口腔外科に全然関係ない症状の人、たとえば網膜剥離の人とかもいました。
多分他の病棟で、ベットが無かったんでしょう。
大体の人が1週間ぐらいで退院していくので、俺は3人ぐらい見送りました。
俺の隣のおじーさんは俺が来る前から入院していて、俺が退院するときもまだ入院してました。
彼は週末だけ家に帰っていくんですが、それ以外はずっと病室のベットで寝ています。
昼夜問わず、ほとんど寝てます。
それも、すんごいイビキです。
喉とかそういった系に病を抱えているらしく、しょっちゅう洗浄とかしてはりました。
最初の頃こそ、うるさいなー眠れないよーとか思ってましたが、数日で慣れました。
そもそも俺も眠れてないし。
あと、毎晩子供が泣いてる声がしてた。
ホラーじゃなくて、実在する子供。
たまに母親と連れ立って歩くその子と廊下ですれ違って、ああこの子かとすぐ分かりました。
どーやらアトピーかなにかの皮膚病みたいで、痛々しい顔をしてました。
夜になると痛むんでしょう。
「痛いよぉー痛いよぉー」
と、涙声で訴え続けていました。
ある日、談話室でヒマそうにしてたのを見かけたので、同じぐらいヒマな俺が、一度だけＤＳのマリオカートで勝負しました。フルボッコにされました。
負けそうになると「傷が痛む」とか言うな。手加減しちゃうだろーが。
数日後、元気に退院していきました。
夜中に、誰かが逝かれたようです。
その家族が泣いてました。
なくなられたのは祖父と思われ、父親と思わしき人が、家族を慰めていました。
「泣くなや。じーちゃん最期まで頑張ったやろが。褒めたれや」
少し離れた病室で、俺も泣いてました。
ここは、死に近い人がたくさん集まる場所。
必死につなぎとめようとしても、消えていく命がある。
話変わるんですけど、ある日1人のイケメンが入院してきやがりましてね。
もうこいつが、いちいち酷い。
戦後最悪ってほどに酷い。
まぁ俺の話を聞いてくださいよ。
口が徐々に、本当に日々徐々に開くようになってきたものの、まだ固形物はキツい。
食事も完全なミキサーから、徐々に少し固形のものも混じるようになってきた。
それらをひとつずつクリアし、時には完敗し、俺は少しずつ経験と自信を積み重ねていた。
しかし。
毎朝、あいつに苦しめられるのな。
毎朝挑戦しているのに、一度たりとも勝てたためしが無いのな。
食事も完全なミキサーから、徐々に少し固形のものも混じるようになってきた。
それらをひとつずつクリアし、時には完敗し、俺は少しずつ経験と自信を積み重ねていた。
しかし。
毎朝、あいつに苦しめられるのな。
毎朝挑戦しているのに、一度たりとも勝てたためしが無いのな。
ようやく口が開くようになった。
しかし、長い間閉じられていたため、口の周りの筋肉が極端に衰えており、全然開かない。
指が一本ギリギリ入るぐらいにしか、まだ開かない。
どんなけ大和撫子なんですかってなぐらい、おちょぼ口。
この時の、口の開かないって感覚は、あれにちかい。
朝起きたばっかで、握りこぶしを作ろうとしても、力が入らずにうまく握れないっしょ？
あれあれ、あの感覚。
さて、この口をガンガン開けゴマする必要があるわけだが、当然このままではアリババと40人の盗賊でも開かない。
ではどうするのか。
そこで恐怖の、恐怖のリハビリですよ。
マジで恐怖だから2回言うけど、感覚的には1677万回ぐらいは言わずにおれないぐらい恐怖なモノです。
しかし、長い間閉じられていたため、口の周りの筋肉が極端に衰えており、全然開かない。
指が一本ギリギリ入るぐらいにしか、まだ開かない。
どんなけ大和撫子なんですかってなぐらい、おちょぼ口。
この時の、口の開かないって感覚は、あれにちかい。
朝起きたばっかで、握りこぶしを作ろうとしても、力が入らずにうまく握れないっしょ？
あれあれ、あの感覚。
さて、この口をガンガン開けゴマする必要があるわけだが、当然このままではアリババと40人の盗賊でも開かない。
ではどうするのか。
そこで恐怖の、恐怖のリハビリですよ。
マジで恐怖だから2回言うけど、感覚的には1677万回ぐらいは言わずにおれないぐらい恐怖なモノです。