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2024/05/17 12:46 |
アゴでタイタニックを沈める男。普通の男へ。その27
とにかく口が開くことによって、いろんな事が可能になった。

病室に戻って、鏡を見たり口を開いてみたり閉じてみたりと、色々と遊んでみた。
長々とベットの上で鏡に向かって、口を開いたり閉じたり、閉じたり開いたり。
ヒマなのでずーっとそんな事してた。
その結果、ようやく口を開いている、閉じているという感覚が戻ってきた。
全力で口を開いて、開くのは1センチぐらい。
人差し指が、ギリギリ入るぐらい。
それ以上開くのは、ものすごく痛い。

まずは何はともあれ、歯磨きした。
歯の内側を2週間磨けなかったので、もう明らかにうにょうにょしてた。
歯の裏に、ヘンな層が出来ていた。
それをもう、うらうらと思い切り磨きまくった。
まだ口が1センチぐらいしか開かないので、奥歯のほうに歯ブラシをもってくと、柄の部分がつっかえたりする。
巧みに歯ブラシを使い、洗いまくった。
もうすんごい勢いで汚れが落ちた。
生涯で一番、歯磨きの効果が確認できた瞬間だった。

ものすごくスッキリ!歯がなんか薄いし軽い。
風呂も入れて、顔も洗えても、口の中がうにょうにょしてたのが凄く気になっていたんだけど、これで復活!

そして歯の解放後、初めての食事。
昼食。
c11687f6.jpg







ミキサー具合が少しだけ減って、細かい固形ものも出てきた。
左下にあるのはミキサー中華丼。
白いのは鶉卵。

おいおい、今の俺に固形物なんか食えるわけねーだろ。
これは明らかに病院側からの挑戦だな。

病院側「これぐらい軽いでしょ?それとも鶉卵が怖いの?カッコワライ」

何だとコラー!
患者側としてはその挑戦、受けないわけにはいくまい!
この明らかに頭おかしい人の大和魂が、あわや病院内で死にかける事態に。

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2008/06/20 23:40 | Comments(0) | TrackBack() | 顎関節症
アゴでタイタニックを沈める男。普通の男へ。その26
手術に際して、大体の予定はこんな感じだった。

術後、1週間で管および小顔強制バンドが撤去される。
2週間で口を開き、開口訓練。
リハビリが続き、1ヶ月ぐらいで退院。

そしてついに、二週間目がやってきた。
病める時も健やかなる時も、いつもいつまでも末永く永遠に閉じっぱなしだったこの口。
流動食に泣かされ、ミキサー食初期段階では歯磨きと食事を同時進行させないと食事にならない破目になり、簡単なことを伝えるだけなのに筆談しなきゃならんくて癇癪起こしそうになったり、とてもとても苦労してきたこの口封じ。
これだけ閉じられたら、相当コスモも貯まってるはずだ。
いよいよ、この閉ざされた口が開くときが!


こ の 日 を ど れ だ け 待 ち わ び た こ と カ ッ ッ ッ !


ついにこの入院生活において、ほぼ制約が無くなる!
この、うにょうにょ感ただよう口の中も洗えるし、食べ物も何でも食べられるし、自由に喋ることも出来る!
あああ口が開くってなんてすばらしいんだ。

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2008/06/08 22:32 | Comments(0) | TrackBack() | 顎関節症
アゴでタイタニックを沈める男。普通の男へ。その25
毎日、朝と夜に診察があるんです。

手術の後、股間から生えている不愉快な管が取れると、点滴とか口からの血を集めた箱とかを小脇に抱え、自分で診察室まで行って、診察を受けてました。

診察室は、歯医者にあるようなイスと、たくさんの白衣たち。
大学病院なので、研修生みたいなのがわんさかいるのだ。
難民船みてーな、ものすごい人数が小さな診察室に詰め込まれていて、最初はちょっとビビった。
でも大抵研修生は、遠巻きに観ているだけで、実際に手を下すのは先生とかのベテラン。
たまに先生の指導で研修生も診察とかに参加するんだけど、なるほどやはり先生に比べると手際が悪いのな。
白衣着た医者は、誰でも出来て当たり前みたいに見えてしまうけど、今先生と呼ばれる人たちも、こんな時期を経て来たんだろうなぁとぼんやり思いながら、口をあっちゃこっちゃへと引っ張られるに任せていた。

最初は、傷口の洗浄がメインだった。
左右の頬を内側から切開し、手術後に縫って閉じてある。
ここから出る血を、チューブで吸い取って箱に溜めてるわけだが、傷口に血の塊が付いたままになる。
これを、小さなホースみたいなもので、口の中をじゃばじゃばと洗う。
口の磨けない時期には、これが唯一の口の中の洗浄なので、嬉しかった。
あと、箱に溜まった血の量を観測し、出血量を記録したりしてはった。

1週間ぐらいで抜糸があった。
特に痛いものではないけど、頬に埋まってる糸をほじって引っ張って、抜けるときはなんかヘンな感覚だった。

その後も洗浄は続いたが、しばらくすると自分でやる事になった。
個人用の小さな洗浄マシーンみたいなものがあり、これを毎食後小脇に抱えて洗面所に行き、コンセントつっこんで口の中をじゃばじゃば洗った。
簡単に言うとバケツから伸びたホースの先に、鉛筆みたいなものがついていて、ここから細い水が出る。
この水の強さは調整できるけど、いちいち変えるのもめんどくさいし、変える必要も無いので、常に最強にしてたけど問題ないみたい。
鉛筆部分を握って、口の中を縦横無尽に駆け巡らせ、口の中を洗う。
もちろん頬も洗う。
これを使うと、奥歯の奥から、歯の内側にも水がちょっとだけ届く。
口の中が気持ち悪いのが、これのおかげでちょっとだけ緩和された。
しっかし、このマシーンがむちゃくちゃ使えないの。
鉛筆に着いてるボタンを押している間だけは、水の出が止まるんだけど、止めてると機械が尋常でないぐらいガタガタ震えて、むちゃくちゃうるさいの。
本当に、必死に水を止めてます!って感じで。
もともと普通にしているときも、かなりうるさいんだけど、水を止めるとギャーって感じで、なんか可哀想になってくる。ってか普通に付近の病室の皆様に迷惑だろ。
熱があったから移動せず、部屋でやれと天使には言われていたんだけど、あんなうるさいの、人のいるところでは使えません。

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2008/06/03 17:54 | Comments(0) | TrackBack() | 顎関節症
アゴでタイタニックを沈める男。普通の男へ。その24
ホント微熱の野郎、ロクな仕事しねーのな。

手術の前日以降からこれまで、ずーっと風呂入ってねーんですわ。
2,3日とかまでは、全然気にならなかったんですよ。
そもそも病院内は空調も効いてて汗もかかないし、なにより一番移動量の多い運動が「寝返り」ですからね。
そりゃ、風呂に入る必要も無いかもしれませんよ。

ただね。
俺も一応、日本人ですよ。
そりゃあ、ウェールズに一ヶ月も住んでましたから、もう半分以上はウェールズの血も入ってるみたいなもんですし、NYにも5日もいましたから、明らかに生まれながらのニューヨーカーと言っても過言ではないんですが。
それでもやっぱり、世界一綺麗好きと言われる、日本人の端くれなんですよね。
俺は、ゴミダメみてーな部屋に住んでても平気ですし、野宿とかもわりかしOKな人で、平均的日本人よりは美意識は低いと言わざるを得ないんですが、それでも1週間も風呂に入らないとか、やまだかつて無かった。

一週間も風呂に入らないなんて科学的人体実験は、ホントこれで最初で最後にしたいんですが、この実験の結果によれば、体がとってもくさぽんなのね。
なんとなーく、もやもやーんって、くさぽんなの。
自分でそう感じるぐらいだから、おそらくそうとうなモンなんだと思う。
たった一週間で、しかも病院にいるのに、異臭騒ぎも軽く起こせそうなこの破壊力。
やっぱ風呂って何気なく入ってるけど、大切なんだなー。
と、臭い俺は思ったんです。

あと、歯の裏側が、なんだかイヤンになってる。
歯の表側は、奥歯のほうは無理としても大体磨けるんです。
でも歯が閉じてるんで、歯の裏側は絶対磨けないんですよね。
固形物は食べてないので、何かが引っかかってるとかは無いんだけど、なんか蓄積した...歯垢というのか。
そういった系のものが、層を成してるのが舌で判別できる。
舌で触れたときの歯の裏側の感触が、明らかに、普通と違う。しかも日に日に層が増してる。
掃除してない水周りみたいな。
早い話がぬるぬるしてる。ひー。

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2008/06/01 21:32 | Comments(0) | TrackBack() | 顎関節症
アゴでタイタニックを沈める男。普通の男へ。その23
ミキサー食は、流動食とは比較にならないほどウマく、種類も豊富。
これだったら、はじめっから流動食なんかパスして、これ出してくれよと思った。
天使も、はじめからこちらにしておけばよかったですねーあははとか言うの。
あれは頭にきたね。
もうあんまりにも頭にきて頭にきて、思わず結婚を申し込みそになったぐらい頭にきたね。

しかし、ミキサー食は食いにくい。
わずかに残された歯の隙から吸い込むようにして食べるんだけど、簡単に隙間が埋まってしまう。
埋まった隙間を再び開かせるには、歯磨きしかない。
左手に歯ブラシ、右手にスプーン。
スプーンで1口食べる毎に、歯ブラシで歯を磨く。
ぱくぱく、ごしごし、ぱくぱく、ごしごし。

まぁ軽く、ありえない景色だよね。

とにかく、歯の隙間を使うと、もともとの穴が小さいものだから、簡単に埋まってしまうんだ。
奥歯の奥は歯が無いし、確実に大きな隙間がある。
ここに食べ物を入れることが出来れば、詰まることもないし、吸い込まなくていいし、みんな幸せになれる。
しかし、ほっぺたをいくら引っ張っても、スプーンで食べ物を直接奥歯の奥に運ぶなんて出来ない。
口の中の食べ物の移動は、舌が使えないと、ほぼ無理なんだなぁ。

そこで俺は考えた。
ヒマなので、考える時間はいくらでもあった。

考えて考えて、ついに1つの技を編み出した!

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2008/05/31 09:46 | Comments(0) | TrackBack() | 顎関節症

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