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2024/05/06 12:58 |
非モテが語る恋愛

さて、銀河系非モテ代表の俺が、過去の恋愛について語っちゃいましょうかね。

きっと長いよ? ウザいよ?




ずいぶん昔の話。
付き合っていた人が、死んだ。

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彼女は子宮ガンで、それは取ったんだけど、胃に転移。
子宮ガンだけなら、うまくすれば5年ぐらいは..ってヤブ医者の話だったんだけど、胃に飛んでからは早かった。

出会って半年。
そこから付き合いだして、すぐに彼女から病気の話を聞いた。

5年後には、もう会えなくなる?
最初は、全然実感がわかなかった。

でも、何度も倒れたり、何日も熱が下がらなくて寝ていたりして、その度に彼女に付きっきりで看病した。
風邪や怪我が、極端に治りにくいのを目の当たりにしているうちに、少しずつ認識を改めてきた。

目の前で大切な人が苦しんでいるのに、何も出来ない自分が辛かった。
必死に本を読んだり、調べたりもして病気のことを知ろうとした。
だけど結局、そんな付け焼き刃の知識では、何の役にも立てなかった。

代われるもんなら、代わりたかった。
何の目的もなくフラフラ遊んでる俺みてーな奴よりも、明確に未来を見ている彼女が生きるべきだと思った。

彼女はいつも、未来を夢見ていた。
何年か一緒にいて、結婚して、子供をもって..
こんな事がしたい、こんな家庭を築きたい..
もちろん現実には、すべて不可能だった。
俺はいつも、彼女のそんな話を聞きながら、静かに相槌を打っていた。
夢物語だってのは、十分分かっていた。多分お互いに。
でもすごく穏やかで、静かな時間だった。

いつでも彼女は、自分のことを幸せだと言った。
ベットの上で、痛みに耐えて、荒い息を吐きながらも、そう言った。
俺は、表面では肯定しながら、まったく逆のことを考えていた。

何が幸せなもんか。
苦痛に耐えて、明日死ぬかも分からない状況で、それでも必死に働いて、治る見込みも無いのに通院して。
これのどこが幸せなんだ。

徐々に、彼女は弱っていった。
倒れる頻度も増え、ほとんど看病が目的で、毎日のように会っていた。
どんどん細くなる手足。
俺を見ると、力の無い笑顔を向ける彼女。
それでも「私は幸せ」と、俺に伝えてくる。

もう耐えられなかった。彼女の前でも泣き叫んだ。
なんで?どうして死ななあかんの?何したっていうの?
この世は理不尽だ。
どうでもいい奴が楽々と生きて、たくさんの人から生きていてほしいと願われるような人が、苦しんで先に逝く。
神様なんて、確実にいない。

テレビドラマで、こんな時によくある奇跡。
奇跡的に回復して、その後ふたりは幸せに暮らしましたとさ。
そんな夢を何度見たか分からない。

でも、奇跡は起きなかった。

彼女と別れた。


それからの俺は、ほとんど常に彼女と自分とのことを考えていた。
答えを探していた。

結局俺は、何の力にもなれなかった。
年上の彼女に甘えて、嘆いて、負担をかけるだけで、何もしてあげられなかった。

1年経った。
もしも今、彼女と出会った時間に戻れたとしたら、今の俺なら彼女を救えるかな?
俺は医者じゃないから、命を救うことは出来ないけど、精神的な助けをすることが、今の俺なら出来るかな?
..救えない。
多少は喧嘩の数が減るとか、倒れる前に救急車をもっと早く呼べるなんて程度の違いはあれど、結局は俺は、彼女に寄りかかって甘えて泣いて、最後まで迷惑ばっかかけて終わるんだ。

それから約3年間。
今の俺なら、少しはうまくやれるかな?..やっぱ駄目かも。
毎日のように、何百万回も、そんな自問自答をしていた。常に答えは暗かった。

ある日。
おかんに、彼女のことを聞かれた。
おかんには彼女を紹介済みだったので、最近どうしているのかと聞かれた。
ちょっと戸惑ったけど、死んだ事を伝えた。
驚きながらもおかんは、若くしてガンなんて、不幸な人生やったんやねぇと呟いた。

猛烈にカチンと来た。
何勝手に、よく知りもしない人を不幸だなんて、決めちゃってんの!?
その人が幸せかそうでないかなんて、他人が決める事じゃない。
どんな状況におかれようとも、今に幸せを見いだせる人は一生幸せでいられるし、そうでない人は今の幸せに気づかず、未来に幸せを探し続けて、いつまで経っても幸せが見つけられないもんなんだ。
彼女が幸せだったかどうかは、彼女が決めること。
他人が決めることじゃない!

そっくりそのまま、自分に返す言葉だった。
..自分に驚いた。3年間探していた答えは自分の中にあった。青い鳥の話みてーだ。

そうか。
この時、彼女がいつも言っていた、幸せの意味がやっと分かった。
俺はいつからか、それが分かってたのに、全然それを見ようとしていなかったらしい。

この日から、考える時間が激減した。前を向けるようになった。
彼女は、彼女が言うように、本当に幸せだったんだろう。

俺が彼女の幸不幸を左右するなんて、思い上がりの勘違いもいいところ。
決して俺があげられたものではないけど、彼女はちゃんと幸せの見つけ方を知っていた。
俺にもようやく、それが分かった。

自分を責めて浸る時間は、おしまい。

それに、いつかまた確実に会えるだろ。

俺もいずれは死ぬ。
天国とかそういうのは信じてないけど、死んだらまた会えるんだろう。
死んだ後に、すごい楽しみが出来た。

いずれ会えるんだから、死を急ぐこたぁーない。
なら、この消化試合みてーな人生を、どう使うべきだろう?

誇れる人生を歩もう。
先に逝くだろう姉貴やおかんにも、胸を張って「あれが私の息子だ、弟だ」って、むこうで自慢出来るように。
もちろん彼女にも。
俺を愛してくれた家族や恋人に、胸を張って会いに行き、報告できるような生き方をしよう。

あとは、土産話をもっていこう。
仕事、遊びに恋愛、勉強となにもかもで、可能な限りたくさんの良い経験をしよう。
バイオリンってのはこーであーで、ダイビングってのはこーであーで。
こんな人と仲良くした、喧嘩した、恋愛した。
あの国はどーでこーで。
全部やる。興味あることは全部。出来ること全部。

そうやって、若くして逝った彼女に、土産話を山ほど持っていこう。
俺の人生まるごと、土産話にする。


それが、俺のおみや。

喪失感満載で、どうしても生きる理由が必要だった。
あの頃の、俺の生きていくのに必要な、自分への言い訳。

おっかなびっくり、新しい事やってみた。
いろんな人に出会って、いろんな世界が見えてきた。
生きてく事が、すんごい楽しくなってきた。

それからしばらくして、好きな人もできた。
自然に、彼女の事も思い出になった。
当初は、一生この思いを胸に..なんてひたっていたけど、たった3年で思い出に。
それが悲しくも有り、嬉しくもあり。

人間て、結構強い。

2007/08/16 07:53 | 恋愛

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