俺のおみや

ギャンブルといえば、株に手を出したこともある。

株をはじめるにあたって、図書館で株関係の本を借りてきて、読みまくった。

「株には方程式がある」

そんな言葉を信じ、チャートを読む計算式を導き出すべく、２０冊ぐらい株関係の本を読破した。
ヘッドアンドショルダーやら、シンメトリカル・トライアングルやら、あの頃の俺は常にぶつぶつ呟いてた。

数学が好きだったので、ありとあらゆる方程式を覚えこみ、例題に出されているチャートの先を導き出しては、一喜一憂していた。
この法則で株価の先が読めるのなら、確実に儲かっちゃうんじゃね？
世の中のやつらは勉強不足なだけじゃね？
俺みたいに、きっちり勉強すれば負け知らずなんじゃね？

そんな風に思っていた時期が、俺にもありました。

さんざん勉強し、もうどんなチャートを見ても先が予想できるような、神の目を手に入れた俺。
早速現在のチャートを見て、いよいよ実地訓練。
いくつかの銘柄を見て、その先を予想。
そして数週間後に結果をチェック。
もしも予想通りの結果になっていれば．．．ってか成ってるに決まってるし。

数週間後。

みんな、てんで、ばらばら。
当たるのもあれば外れるのもあり、どー考えても方程式に乗っ取ってない動きをする株価がほとんど。

数式で先が分かるなんて嘘じゃん．．
そら、それで分かるのなら誰も損しないよな．．常識的に考えて。

こうして俺は株社会にデビューすることすらなく、静かに消えて行ったのでした。

やっぱ男ならガツンと定期預金だろ。５年複利な。