俺のおみや

「何回やってもダメやねんて。なんでか教えてあげて」
とかいう電話が、唐突に入る事がよくある。おかんから。

ダメ息子（３７独身金なし甲斐性なし腰痛もち）の唯一の利点は、ＩＴエンジニアであるということ。
その立場をあちこちで吹聴しまくっているせいか、老人仲間のサポートセンターにさせられてしまう事があります。

正直いいますと、物凄く物凄く物凄く面倒くさいです。
まず、症状を聞いているおかんが、あまりよく分っていないので、トラブルの詳細がサッパリ分りません。
海外製の、聞いた事も無いソフトを使ってのトラブルの時は、地味に困りました。

また、確かに俺はＰＣに詳しいかもしれませんが実際は、一般人に比べたらマシ、程度です。
あくまでソフトを作るプロであり、ＰＣ操作のプロではありません。
樹医に腹痛を訴えているレベル、とまではいいませんが、畑違いである事は間違いありません。
だから毎回、トラブルに出向くときは、わりと緊張します。大抵は見たことも無いトラブルで、それでも即時解決を目で求めてくる先方の目の前で、ネットに頼る事もできず（主にプライドのせいで）に対処しなくてはなりません。

でもここは、おかんの顔を立てる意味でも、俺が唯一役に立てる場面でもありますので、トラブルの解消に出向きます。

大抵は数分で解決します。

「さすがプロは違うな！」
そんな社交辞令を見事に真に受けて、あんなに嫌がっていたくせに
「また何かあったら、いつでも言ってくださいねー♪」
とか言っちゃってんの。
普段褒められてないから、褒め言葉への耐性が皆無なの。

どんな形であれ、人に頼ってもらえるのは嬉しいですよね。