この話は、事実を元にしたフィクションです。
先日、いろんな懐かしい名前をFacebookで検索してみた。
すると、小学生の頃に良く遊んだ、友人の名前がヒットした。
連絡を取ってみると、まさにその友人だった。
懐かしさに盛り上がり、あれこれと話をしたあと、近況の話になった。
俺は、しがない三流プログラマだと伝え、お前は何してんだと尋ねると、奴は
「俺な。医者になったわ。三流のな(笑」
と答えた。
まぢでか!
医者なんてすげー金もってんだろベンツくれよとか言いかけた俺に
「嘘じゃなかったし、無理じゃなかっただろ? 覚えてるか?」
と、奴は言った。
その瞬間、一気に昔の記憶が鮮やかに蘇ってきた。俺はちょっと泣いた。
そーか。おめーマジで、約束叶えたんかー。
先日、いろんな懐かしい名前をFacebookで検索してみた。
すると、小学生の頃に良く遊んだ、友人の名前がヒットした。
連絡を取ってみると、まさにその友人だった。
懐かしさに盛り上がり、あれこれと話をしたあと、近況の話になった。
俺は、しがない三流プログラマだと伝え、お前は何してんだと尋ねると、奴は
「俺な。医者になったわ。三流のな(笑」
と答えた。
まぢでか!
医者なんてすげー金もってんだろベンツくれよとか言いかけた俺に
「嘘じゃなかったし、無理じゃなかっただろ? 覚えてるか?」
と、奴は言った。
その瞬間、一気に昔の記憶が鮮やかに蘇ってきた。俺はちょっと泣いた。
そーか。おめーマジで、約束叶えたんかー。
はるか昔。
俺が小学生の頃、いつも一緒に遊んでいた仲間がいた。
その中でも特に仲のいいのが2人いて、俺たちは揃って勉強嫌い、そして外遊び大好きの、いわゆる「3バカ」であった。
学校が終わるとそれぞれの家に帰り、ただいまと同時にランドセルを玄関に投げ込み、即行ってきますと遊びに出かけた。
そして3バカは揃って、山だの川だの空き地だので、日が暮れるまで遊んだ。
ある週末。
3バカは、少し遠くの山に「遠征」に行く計画を実行した。
わりと危険箇所もある道だったので、幾度も「子供だけで入るな」とか「登山装備が無いものは引き返せ」的な看板がいっぱい有ったが、3バカはそんなものに従う気も無かったし、そもそも漢字が読めるかどうかも怪しいぐらいのバカだったので、そんな警告は無意味であった。
そして、事故は起きた。
仲間の1人が、足を滑らせて10メートルぐらい下の沢に落ちたのだ。
もう俺たちはパニックになって、あちこち走り回って出会った登山者(大人)に、誇張無しで泣きながら事情を説明して、救助を頼んだ。
沢に落ちた友人は、骨折で即入院。
俺たちはいろんな人に代わる代わる人生最大級に怒られて、さすがに反省した2バカ+1も、1ヶ月ぐらいは山を自粛した。
そのあと、落ちないようにするにはどうすればいいかの研究が始まり、俺たちの登山技術はようやく向上を始めるのだが、それはまた別の話で。
友人が骨折が直って退院してからも、相変わらず3バカは、今にして思えば無謀な、登山を含めた遊びを繰り返していた。
そんなある日、沢落ち男が、とんでもないことを言い出した。
「俺な、医者になるわ」
それを聞いた瞬間、あぁ、やっぱり頭に異常が出たかと思った。
なんせ、医者なんてバカには最も無縁の職業。
おまけに俺たちは順位発表こそなかったものの、クラスの中でも明らかに「最も頭の悪い男」を巡って、熾烈な争いを繰り広げる最下層常連三人組。
そんな阿呆が医者になんかなれるわけ無いということは、さすがに小学生でも分かる。
「いや嘘だろ」
「嘘じゃねーし」
「いや無理だろ」
「無理じゃねーし」
沢落ち男は、ちょっと怒ったような、真面目な顔で言い切った。
こんなに真面目な顔の奴は、最後の10円を投入し、じゃんけんマシンでチョキのボタンを押す間際に見せた時以来である。ちなみに機械はグーを出し、「ズコー」って負けてた。
「そもそも何で医者なん?」
核心に触れると、沢落ち男は淡々と語りだした。
奴が言うには
「入院中に、同い年ぐらいの女の子と知り合った。その子は治りにくい病気で2年も入院していて、山でも川でも遊んだことが無いらしい。俺たちは毎日のように遊びまわっているのにこの子は病と闘っ(中略)、その子を治す為に医者になると決めた。医者になることを、その子とも約束した」
らしい。噛みっ噛みでドモりながら、トータル15分ぐらい語り続けとった。
ちょっと顔を赤らめながらぐだぐだ語る友人は、とてもキモかったです。
要するに、友人だか好きな女だか知らんが、自分の人生を変えてまで、その子の為に、何かしたい、と。
そー言うのか。そんなカッコイイ事言うのか貴様は。トーテムポールみてーな顔してからに。
今聞いたら多分泣くけど、当時は、何言ってんだこいつアホかという感想しか持てなかった。
まだ、俺が宇宙刑事になるって言ってるほうが、リアリティがありそうな話だった。
その後も事あるごとに俺たちは
「いや嘘だろ」
「嘘じゃねーし」
「いや無理だろ」
「無理じゃねーし」
というやりとりを繰り返した。
学年が上がっても卒業するまで、このやり取りは続いた。もう挨拶みたいなもんで、多分卒業の日もやったと思う。
そして奴は、それからも俺たちとは遊んでいたけど、どんどんと勉強が出来る側の人になり、中学からは私立に行ったので、俺たち2バカとは疎遠になった。
ちなみにもう1人は、ミュージカル好きが高じて
「NYに本物のミュージカルを観に行く!ってかステージ立つ!」
とかほざいて高校辞めて、以後消息不明。
俺の周りってヘンなのばっかし。類友ってあれウソだよね。
そして現在。
沢落ち男は、明言どおり、約束どおり、医者になった。
なにやらムチャクチャ遠回りして、ちゃんと医者になったのは数年前かららしいが、その情熱は尊敬に値する。3バカのくせに。あと、医者なのに金持ちじゃないらしい。
気になったので聞いてみた。
「おめー。その医者目指すきっかけになった女の子と、その後どうなったの?」
「あー。あの女なら結婚して、今俺の隣で寝てるよ」
!!
一瞬信じかけたけど、さすがに嘘だった。
あの子とは、あれ以来らしい。
まぁそんなモンだよね現実ってと、2人で笑っておいた。
Facebook推奨記事書いたったぞマークなんかくれ。
俺が小学生の頃、いつも一緒に遊んでいた仲間がいた。
その中でも特に仲のいいのが2人いて、俺たちは揃って勉強嫌い、そして外遊び大好きの、いわゆる「3バカ」であった。
学校が終わるとそれぞれの家に帰り、ただいまと同時にランドセルを玄関に投げ込み、即行ってきますと遊びに出かけた。
そして3バカは揃って、山だの川だの空き地だので、日が暮れるまで遊んだ。
ある週末。
3バカは、少し遠くの山に「遠征」に行く計画を実行した。
わりと危険箇所もある道だったので、幾度も「子供だけで入るな」とか「登山装備が無いものは引き返せ」的な看板がいっぱい有ったが、3バカはそんなものに従う気も無かったし、そもそも漢字が読めるかどうかも怪しいぐらいのバカだったので、そんな警告は無意味であった。
そして、事故は起きた。
仲間の1人が、足を滑らせて10メートルぐらい下の沢に落ちたのだ。
もう俺たちはパニックになって、あちこち走り回って出会った登山者(大人)に、誇張無しで泣きながら事情を説明して、救助を頼んだ。
沢に落ちた友人は、骨折で即入院。
俺たちはいろんな人に代わる代わる人生最大級に怒られて、さすがに反省した2バカ+1も、1ヶ月ぐらいは山を自粛した。
そのあと、落ちないようにするにはどうすればいいかの研究が始まり、俺たちの登山技術はようやく向上を始めるのだが、それはまた別の話で。
友人が骨折が直って退院してからも、相変わらず3バカは、今にして思えば無謀な、登山を含めた遊びを繰り返していた。
そんなある日、沢落ち男が、とんでもないことを言い出した。
「俺な、医者になるわ」
それを聞いた瞬間、あぁ、やっぱり頭に異常が出たかと思った。
なんせ、医者なんてバカには最も無縁の職業。
おまけに俺たちは順位発表こそなかったものの、クラスの中でも明らかに「最も頭の悪い男」を巡って、熾烈な争いを繰り広げる最下層常連三人組。
そんな阿呆が医者になんかなれるわけ無いということは、さすがに小学生でも分かる。
「いや嘘だろ」
「嘘じゃねーし」
「いや無理だろ」
「無理じゃねーし」
沢落ち男は、ちょっと怒ったような、真面目な顔で言い切った。
こんなに真面目な顔の奴は、最後の10円を投入し、じゃんけんマシンでチョキのボタンを押す間際に見せた時以来である。ちなみに機械はグーを出し、「ズコー」って負けてた。
「そもそも何で医者なん?」
核心に触れると、沢落ち男は淡々と語りだした。
奴が言うには
「入院中に、同い年ぐらいの女の子と知り合った。その子は治りにくい病気で2年も入院していて、山でも川でも遊んだことが無いらしい。俺たちは毎日のように遊びまわっているのにこの子は病と闘っ(中略)、その子を治す為に医者になると決めた。医者になることを、その子とも約束した」
らしい。噛みっ噛みでドモりながら、トータル15分ぐらい語り続けとった。
ちょっと顔を赤らめながらぐだぐだ語る友人は、とてもキモかったです。
要するに、友人だか好きな女だか知らんが、自分の人生を変えてまで、その子の為に、何かしたい、と。
そー言うのか。そんなカッコイイ事言うのか貴様は。トーテムポールみてーな顔してからに。
今聞いたら多分泣くけど、当時は、何言ってんだこいつアホかという感想しか持てなかった。
まだ、俺が宇宙刑事になるって言ってるほうが、リアリティがありそうな話だった。
その後も事あるごとに俺たちは
「いや嘘だろ」
「嘘じゃねーし」
「いや無理だろ」
「無理じゃねーし」
というやりとりを繰り返した。
学年が上がっても卒業するまで、このやり取りは続いた。もう挨拶みたいなもんで、多分卒業の日もやったと思う。
そして奴は、それからも俺たちとは遊んでいたけど、どんどんと勉強が出来る側の人になり、中学からは私立に行ったので、俺たち2バカとは疎遠になった。
ちなみにもう1人は、ミュージカル好きが高じて
「NYに本物のミュージカルを観に行く!ってかステージ立つ!」
とかほざいて高校辞めて、以後消息不明。
俺の周りってヘンなのばっかし。類友ってあれウソだよね。
そして現在。
沢落ち男は、明言どおり、約束どおり、医者になった。
なにやらムチャクチャ遠回りして、ちゃんと医者になったのは数年前かららしいが、その情熱は尊敬に値する。3バカのくせに。あと、医者なのに金持ちじゃないらしい。
気になったので聞いてみた。
「おめー。その医者目指すきっかけになった女の子と、その後どうなったの?」
「あー。あの女なら結婚して、今俺の隣で寝てるよ」
!!
一瞬信じかけたけど、さすがに嘘だった。
あの子とは、あれ以来らしい。
まぁそんなモンだよね現実ってと、2人で笑っておいた。
Facebook推奨記事書いたったぞマークなんかくれ。
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