やっぱ本当に良い男は、ちゃんと長く付き合ってるんですよ。
いやね、恋愛の話なんですけど、この顔で恋愛の話とかしちゃうのは恐縮なんですけど、
とにかく思うに、良い男は相手とちゃんと恋愛すると思うんです。
数は少なくともちゃんとした恋愛をして、そこそこ長く付き合ってると思うんです。
具体的に言うと、少なくとも年単位で。
例えば付き合って数ヶ月とか、数週間とかであっさりピリオド、とかいう男はいただけない。
仕事と同じで、ちょっとやって辞めて、というのは信用されない。これ真理アルね。
特に、3ヶ月とかが「付き合った期間ベスト3」に余裕でランクインしているような男は、
人間的に、少なくとも女性から見た男として、問題があると言わざるを得ないと思われ。
そういうのはいい男とは言えない。むしろ悪い。悪質。下の下。最悪。
ってまぁ、俺のことなんですけど、これは俺が高校生の頃、初めて付き合った女性の話。
彼女はハッキリ言って、ぶっ飛んでいた。
間違いなく歴代No.1。オンリーワンだけどナンバーワン。多分未来においても誰も勝てないと思う。
なんというか、よく言えば奇想天外。次の瞬間何するか分からない、飛天御剣流でも先読みできない女でした。
俺も、今では限りなく変態に近い変人、いやもう変態でもいいよあんまり立ち位置変わらないし、
ってな奴なんですけど、一応高校生なんかの頃は、かなり一般的な男子だったと思うんです。
顔はその頃から酷かったですけど、性格はいたって普通の根暗な高校生だったと思います。
当時は女性と付き合うのが初めてだったもんで、こんなもんかと思っていたが、
今考えると明らかに、いやいやおまえちょっとおかしい、と言うことが多々あった。
事件は次々と起こった。
一番最初の事件は「ファーストフード絞殺未遂事件」
その日の放課後、俺と彼女は2人で駅前のファーストフード店に来ていた。
当時夢見る男子高校生だった俺には、彼女が出来たら是非してみたいことがいくつかあり、
そのうちのひとつが、この学校帰りのファーストフードでハンバーガー食う、という実に庶民的な夢であった。
あと、一緒に登下校とか。
夢が叶ったと喜びながら夢の気分で、なんとかセットを食う。
彼女もご機嫌で、他愛のない話で盛り上がり、うふふあははってな世界が広がっていた。
そんなこんなで1時間も喋っただろうか、とっくに2人とも食べ終わっていた。
2人ともニコニコ。幸せの微笑み。
俺は何気なく、ひょいと手を伸ばして「ちょうだい」と言いながら、彼女のアイスティーを手にとってすすった。
あまり残って無くて、「ズズッ」っという音を出して飲みきった俺。
見ると彼女が般若になってた。
まるで大魔人のように、一瞬目を離した隙に、彼女が般若顔になっていた。
分かりやすく言うと、ジャムおじさんが次の瞬間、ブチ切れてるケンシロウになった感じ。
額にマンガみたいな血管マークまで浮かんで、ピクピクと震えている。
俺は彼女が何に怒ってるのか訳が分からず、笑顔が凍り付いた。ついさっきまで笑って会話してたのに。
い、一体彼女に何が?俺何したっけ?
「ど、どうしたの?」
と言う言葉とほぼ同時に、彼女の手がにゅっと伸びて、俺の首を絞めた。
こいつぅ~♪みたいな少女漫画系の絞めではなく、フリーザ対ゴクウ系の、80%ぐらい殺る気の首絞め。
そして「あなたには優しさが足りない!」と言いながら、80%..85%..90%..と、界王拳使いまくり。
どんどん殺る気を高め、俺の首はガンガン絞まる。
必死にふりほどく俺。それこそ必死だった。生まれて初めて、人に殺されるかも?と言う恐怖を感じた。
その腕を押さえ込んで、とにかく話をしようと必死。
ファーストフード店内の全員の視線が集中。
とにかく表に出て、彼女の話を聞くと、俺が了解も得ずに飲み物を取ったのが、許せなかったらしい。
彼女の反応には驚いたが、確かに俺が悪かったわけで、とにかく謝って許して貰う。
女性にはやっぱ、優しくしなきゃいけないなーと純真な俺は心に誓うわけで。
こんな事件が、3ヶ月の間に何度も起こった。この程度は週1ぐらい、特にでっかいのがあと2回。
当時は、そういうもんなのかなぁと思っていたので、怒られて謝って、
後で逆に謝られて優しくされてってのの繰り返しを、普通なんだと思ってた。
今なら、それなんてDV?って思うけど。
つづき。