あのさ。
知らないんなら教えてやるよ。
血の涙流しながら教えてやるよ。
よく聞け。
俺ね、恋人いないの。ええそりゃあもう。誠に遺憾ながら。
もういつからいないのか、記憶にないぐらい遠くなりにけり、やねんかな。
気軽に遊びに行けるような女友達も、皆無やねんかな。
ぶっちゃけ、友達少ないねん。
ついこの間初めて、俺の携帯が古すぎて、写メール受け取れないって事に気付いたぐらいだからな。
年単位で写メール受け取ってないって事っスよ。
どんなけ友達いーひんねんって話や。
そこで貴様はそれか。
俺の女関係が、寒いとか通り越して、絶対零度な感じで分子結合が崩壊し塵になりそうな気配だってーのは、痛いほど知ってるだろーがいたたたたたこの野郎。
ほとんど新品と思われるこの本。
ふと、当然の疑問を投げてみた。
「この本、自分のために買ったんやないの?」
もしかしてコイツ、あの超かわいい、エビちゃんとチワワを足して5で割ったような彼女に、フラれたんか?
ははーんなるほど。そら可哀相に。うっへっへっへ愉快愉快。
ようこそこちら側へ。歓迎します。
なんて本心は押し殺して、ちょっと同情気味に聞いてみた。演技で。
そしたら
「いやー。実は同じ日に彼女も同じ本買っててさぁ。えへへ。
なんつーの?波長が同じっつーかね。運命感じたよ実際。なははは」
ゴゴゴゴゴゴ...(怒りが沸き上がる効果音)
ホホゥー!(怒)
なら今! ここで! 俺に! 切り捨て御免されるのも! 運命だと思えゴラァ!!
そーゆー事ですか。
それでいらなくなった一冊を、俺にくれると。
それはアレか。イジメか。どう好意的に解釈しても嫌味としか思えないんだがのー。
そしたらあの野郎、こんな事言うの。
「でもおまえ、こういう本集めてたやろ」
ああ、集めてたさ!ちょっとした移動図書館になら負けないぐらい、持ってたさ。
来たるべき日に備えて、デートコースとかものすご勉強してた言うに。
他にも関西ウォーカー、そのとき福岡にご熱心だったので九州ウォーカー、もしもの時のために東京ウォーカーまで手を広げてた言うに。
だけどね。ある日悟った。
知識だけ増やしても、それを使う機会は永遠に訪れないということに。
どこのバーのチャージがいくらとか空で言えても、モテ無い事にはかわりない、むしろ拍車かけてる、ということに気付いてしまった。
...なにやってんだろ?
恋人もいないのに、デートマニュアル見まくって。
ひょっとして今の俺、ものすげーかっこわるいんやない?
自分のかっこわるさの鱗片に、ようやく気が付いた俺。その他大部分のかっこわるさには、未だ気付いてない。今も気付いてない。
その日から、そういう色気付いた本は姿を消し、かわりに温泉とか高原ハイキングとか、そういった本が本棚に並ぶことになりました。
あー落ち着くわー
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友達同士で行って実地体験しとくのもアリなんじゃないかと。
本だけの知識だってのはサムイ気がするわけで。
温泉とかハイキングスポットを知ってるのもいいと思います。
友達が少ないってのもホンマかいな?って感じするねんけど。
ネタちゃうか?