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2024/11/22 23:53 |
身体をころんころん、心をゆっさゆっさ
俺はIT業界という、最先端の奴隷制度に組み込まれた、社蓄という身分でおめおめ生きております。
そんな俺が毎日人間らしい時間に退社し、連日稽古に参加するというのは、織姫と彦星が毎晩会うレベルの難易度であり、限りなく不可能に近いといわざるを得ないと専門家は語る。

稽古に参加する為に毎週のように、親戚連中を亡き者にして、人の尊厳とか会社での立場とか色々犠牲にしているわけです。それでも週1回でギリ。
にもかかわらず、なかなかどうして、俺の柔術は一切全くこれっぽっちも進歩が見られないというのはいかがなものか。
相変わらず、帯上の人には、全く何も出来ないまま、いいようにこねくり回され、その景色は習って初日から、なんら変化していません。
白帯に対しても、帯上よりは生存時間が多少長くなるものの、結局は数分のうちに2、3回ぐらいは極められて、タップ(ギブアップの意味で畳を叩く)するだけの簡単なお仕事です状態。

特に帯上とのスパーリングは酷い。戦後最悪と言うほどに酷い。もう見てらんない。
「全く何も出来ないまま」というのは、比喩ではなく、本当に何も出来ない。
例えば相手が仰向けでゴロンと寝転がり、こちらに足裏を向けて対峙している場合。
攻撃する為には、まずこの足を何とかして、胸に乗るなりしないといけないわけですが、これがどんな選択肢を選んでも、破滅の未来しかない。
考えられる対策とその後の流れを、以下に記す。
・回り込む→背中で回ってこちらに向きなおされる
・足を掴んでどける→反対側の足で押し返されるor足を絡められて転がされる
・足を掴んで押し込む→足のすそを掴まれて転がされる
・足を無視して胸に首を押し込む→首または腕を極められるor巴投げされる
・自分も相手と同じ体勢になってみる→足を払われて馬乗り(マウントポジション≒死の香り)

もちろん、わたしも長い年月をかけて猿から進化した人類の一員として、学習能力が備わっています。はずです。
だからこそ、同じようにやられないように、自分なりに対策を考えて、次の手を打つわけです。
にもかかわず、全く同じように攻めさせられ、全く同じように転がされて以下同文という事になります。それが1回や2回ならまだしも、ものの数分の間に、同じやられ方を5回も6回もしてしまうこともザラ。こうなると、果たして己に学習能力があるのかどうかすら、疑わざるを得ない。

悔しい。文字通り、手も足も出ない。
何も出来ない自分が、めちゃくちゃ悔しい。
悔しすぎてちょっと泣きそうになるも、この涙は練習後にとっておこうと決めた。

でもね。思ったんです。
こんな風に、泣くぐらい悔しいと思えることに出会ったの、本当に久しぶりだなって。
これって実は、すごく大事な事で。

俺が思うに人って、現状に納得したらそこで向上は終わってしまうんですよね。
上手く行かないとすぐに、
「黒帯になんて勝てるわけない」とか
「若いやつには負けて当然」とか、
「でも多分7並べなら勝てる」とか、
実の無い無駄なプライドを守る為に、もっともらしい言い訳を自分にして、弱い自分を正当化してしまうんですよね。何もしない自分を見ないようにして、心の平静を保つ。
楽だけどそうしたら、そこで向上はおしまい。

「負けたくない」とも、「上手くなりたい」とも、似ているけど違う。
「悔しい」と、絶対に何とかしてやる!っていう強い強い気持ちが、自然と湧き上がってくるんですよね。

だから「悔しい」って思う事は俺にとって、出したくてもなかなか出てくるものじゃない、凄く貴重で大切な感情なんです。
これが出たから、きっと俺は大丈夫。
うん。

ってな事をごろんごろん転がされて、泣きそうになりながら考えてました。
そして俺を散々ゴロゴロさせた黒帯が、ぽろっと一言。
「まだ1ヶ月にしては、よく動けている方ですよ」

別の日に、これまた俺をぐりんぐりんさせまくった青帯が、ぽろっと一言。
「ちょっと見ない間にデフェンス、上手くなりましたねー」

もうね、どちらの言葉も嬉しすぎて、泣きそうになるのを必死にこらえたわ。
たったこれだけの言葉だけど、俺が全否定する俺を、そうでもないよと認めてもらえた気がして。

あたし。頑張る。超頑張る。

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2016/12/27 20:33 | Comments(0) | 柔術

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