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2024/05/19 04:13 |
ラブレター その2

前回の続き。


昼休みが終わった。
予想通り彼女は昼休みに外に遊びに行った様子なので、
まず間違いなく下駄箱の手紙に気がついたはずである。

次の作戦行動時間は放課後。
これがメインエベント(口頭による告白)となる。


授業が終わり、掃除の時間となった。
教室の机を運びながら、昨晩一生懸命考えた告白の言葉を、何度も頭の中で練習していた。
緊張するなぁ、うまく言えるかなぁ。ネムがドキドキ。ドキがムネムネ。

するとそこへ、彼女と彼女の友人がやってきて、友人の方が
「なぁ、これ出した?」
と聞いてきた。
その手に持ってるのは、なんと俺が出したラブレターではないか!
ちょっ...なんでオマエが!?
迂闊であった。
俺はてっきり、彼女はそれを一人でこっそり見て、頬を赤らめる(怒)なり吐血するなりして、
こっそりと会いに来て引導を渡す、という流れになるものだと信じていた。
それを堂々と友達にも見せ、さらにクラス中に聞いて回るという漢っぷり。


大体オメーもその質問はなんだ。
ひらひらとラブレター見せられて、
「出した?」と聞かれて「オウよ!」と答えられる奴がいるわけねーべ。
そんな男らしい奴は、そもそも最初から手紙など書かないよ。

事態の予想外の展開に内心焦りながらも、
「出してないよ。何それ?」
とスッとぼける。
二人はそれには答えず俺から離れ、次々とクラス中の男に聞いて回っていた。
さすがに、内容を見せて回っているわけではないようだ。

結局、彼女らの口頭による犯人いぶりだし作戦は失敗した様子。
そりゃそうだ。俺が犯人なんだから。



そして放課後。
ちょっとしたハプニングは有ったが、なんとか被害を拡大することなく
最終場面を迎えることが出来た。
さぁ後は、待ち合わせの場所に行って彼女に告白をするだけだ。
ドキドキ。
小さな胸を躍らせて、指定した待ち合わせ場所に向かう。



待ち合わせ場所は入念な下調べにより、校庭の隅の隅、
放課後に絶対に人が来ない場所を選んである。
遠くから隠れながら様子を探ると、すでに待ち合わせ場所に誰かいる様子。
という事は、彼女はもう既に来ているということだ。
嫌なことはさっさと済ませるタイプか。


しかし、俺が突然極度の乱視になったか、あるいは彼女が実は忍者であったのでなければ、
不思議なことに二人いるような気がする。
うん、間違いない。あの聞いて回っていたヤツと一緒だ。
友達同伴かよっ!!
それ呼び出した意味無いじゃん!!

しかもよくよく周囲をうかがうと、いるわいるわ、クラス中の女子が。
明らかに不自然な様子で自然を装って、遊んだり立ち話をしつつ、
辺りをきょろきょろうかがっている。その数推定20弱。
刑事ドラマの、身代金の受け渡し場所みたいになってるし!
待ち合わせ場所を中心に、クマみたいにぐるぐる徘徊しているヤツも数人。
すげぇ警戒網だ。
キャッツアイの犯行予告を受けたって、ここまで厳重な警戒はしねぇーよ。

警備は厳重を極める。
一番問題なのは、彼女の周りをウロウロしている、あの「出した?」女が厄介だ。
ヤツのクラスにおける勢力から言っても、ヤツに見つかるのが一番マズイ。
そんなことになったら、もう人生オワリ。
小学校辞めるしかない。
俺の指定した待ち合わせ場所は高台になっていて、それを40以上の瞳が監視しているのである。
誰にも気づかれずに彼女に接触することは、まず不可能であろう。

しかしそれは普通の人間ならば、だ。
難攻不落の城砦といえども、小さな穴から崩壊することは有り得る。
かつて無敵といわれたアキレスにさえ、弱点はあったではないか。


市立小学校の007と恐れられたスパイな俺は、不敵に笑い










うん、逃げた。やってられるかボケ。

ありえねー。あの人数はねーだろ。
そりゃ、女子という生き物は、トイレにすら友達同伴で行くらしいって聞いてたけど、
さすがにこの状況でクラス総出はないわー
呼ぶ方も呼ばれる方も、空気読めよー airをreadしちゃってくれよー


つづく?

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2007/02/01 00:07 | Comments(0) | TrackBack() | 恋愛
ラブレター その1

改めて本気出して言わせてもらうが、俺はモテない。
俺の脳内googleで、俺の人生から「モテた|モテる」と検索しても
「該当なし 検索にかかった時間0.0001秒」
という結果が即行返ってくるほどにモテない。
ホント、フラれる度に10円ずつもらっていたら、今頃億万長者とは言わないまでも、
540円ぐらいは貯まってるだろう。


大抵は、告白することなくフラれることが多かった。
今でもそうだが、俺は態度が行動に現れやすいので、
察知した相手が、告ってもいないのに「興味無い」とかわざわざ伝えてくれたり、
何人かの女に取り囲まれて、宗教裁判のように無理やり好きな女を自白させられ、
該当者が泣き出すなどという、ゆかいな経験も多数お持ちだ。


1度だけ、告白の為に手紙を書いたことがある。
いわゆるラブレターという奴である。
俺が小学2年生だった頃の話。


詳細は忘れたが、とにかく俺はクラスメートを好きになった。
そこから思いを伝えたいと思うまでのプロセスは、わざわざ説明することも無いであろう。
俺だって、たまには人間みたいな行動もするのである。


この頃の女の子は大抵そーだが、彼女も常に誰かとつるんでいるので、
誰にも知られず、面と向かって伝えるのはかなり難しい。


そこで俺は、ラブレターを書いた。
内容は好きだという事、そしてある場所への呼び出しである。
指定時間は今日の放課後。
呼び出したところで会って、本格的に告るつもりだったのだ。
なので、名前は書いてない。


俺は今も昔も、頭と性格の悪さがモロに出た字の汚さなのだが、
この時は一生懸命綺麗な字を心がけ、手紙を書き上げた。
そして、次はこれを彼女の下駄箱に入れる。
ここからのミッションは非常に重要である。
もし万が一、ラブレターを入れるところを誰かに見られたりしたら、
報告、閲覧、自白などのプロセスを経て、取り返しのつかないような事態となる事は間違いない。
小学生というのは、ヘタなホラー映画の怪物キャラよりも、残虐非道なことを平気でやる生き物なのだ。


というわけで、絶対に失敗は許されない。
俺はここから伝説の特殊工作員タカッド・スネークとなり、最大限の注意を払い行動した。
目標ポイントに到達する前に周囲の様子をうかがい、到達した後は素早く手紙を下駄箱に設置した。
外から最も見えにくい状態にすることはもちろんである。

時刻は昼前。

これで彼女は、昼休みに外に遊びに行く時に、手紙の存在に気がついてくれるであろう。
もちろん彼女が100%の確率で、昼休みに外に出ることは友軍CIAの調査により立証済み。
まずは任務を順調に進めた。


しかしここから、伝説の工作員タカッドスネークにも予想も出来なかった事態となる。


つづき

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2007/01/29 23:11 | Comments(0) | TrackBack() | 恋愛
猟奇的な彼女2

前回の話の続きです。
猟奇的な彼女 


そして、生傷の絶えない日々が続きました。
もう仲間内でも彼女の奇抜な行動は有名で、真剣に俺の身を案じる友人から
「アンタありゃ止めたほうがいいんじゃないの?」
と、何度も忠告されてました。
しかし当時の俺は、今と変わらずすこぶるバカで、
「男は、思い立ったら最後まで!死が2人を分かつまで!」
みたいな気概があり、バカに勘違いが加わるとろくなモンじゃねーな、という良い見本でした。
あと、1人になるのが怖かった。それが本音。とんでもない女だけれど、ひとりぼっちよりマシだよ。

そして終焉の日がやってきます。
本当はこの前に、でっかい事件があったんだけど、これはさすがに書けない。
これは一般社会にもご迷惑をおかけした事件で、多分偶然現場に居合わせた人たちは、
一生忘れられないような経験になってるはずなので、友人達におもしろ可笑しく話す事は出来るけど、
さすがにWWWでは書けません。
それぐらいすんげー事件でした。死傷者は出てないけど。

ある日突然、前回の般若への変化のように、なんの気配もなくある日ぽつりと
「別れよー」
と言われました。
ものすげー驚きました。全然そんな要素が見つからなかったんです。
まぁ別れってのはそう言うもんですが、俺はとにかく、今まで通りでやっていきたかったんです。
別れたくない俺はすがりつきまくり、娘をお代官に取られまいと足にすがりつく父Aぐらいのレベルで、
主に泣き落としで攻めまくってた。
それでも彼女はやんわりと
「これ以上一緒にいたら、2人ともダメになると思うんだー」
とか
「たからはいい人だから、きっとすぐに彼女できるよー」
とか、遠い目をしながら言うんです。おめーそれ絶対本音じゃねーだろ。
明らかに、傷つけないことで傷つかず、綺麗に別れようという方向に出てます。

納得がいかない俺はもう、食い下がりまくった。
何でなの?とにかく理由を、と言う至極まっとうな俺の質問に対して、
「きっといいひとみつかるよー」
と、語尾を伸ばしながらのんびり優しく言うんです。全然会話になってねぇ。

大体10分は、そんな不毛な会話が続いたでしょうか。
俺はかねてより、これだけは言いたくないけど、言うしかないと思って聞いてみた。
「ひょっとして、ヨシアキ?」
ヨシアキってのは、サッカー部の超イケメン。病的にモテモテ。
実は1月ほど前から、浮気されてる情報は耳に入ってきていた。
だけど、既に書いた通り俺は無駄に男気にあふれていたので、
「恋人を疑うなんて、そんな事は出来ない!それは俺が死ぬ時だ!」
と、聞こえないフリをしていた。それがかっこいいとか勘違いしてた。病気でした。

ズバリ核心をついたと思ったのに、彼女は眉ひとつ動かさずに
「違うよー」
おお、会話が成立してる。
何度聞いても、それは「違う」と答えてくれた。

それ以外に考えられなかったので、とにかく聞き出そうと必死。
去り際全く分かってない。空気読めてない。
だったらどうして?ねぇ?ねぇねぇねぇねぇ?ねぇねぇ?ねぇねぇ?ねぇねぇ?ねぇねぇ?
あまりの俺のしつこさに、さすがに彼女もイライラしてきた様子。
せっかく綺麗に別れようとしてやってるのに、この男ぁ!という怒りに満ちてきたのを、
3ヶ月の付き合いで身につけたセンサーで、しっかりと感じ取った。
そして頂点に達した彼女は、見慣れたブチ切れ顔で言い放った。



「だってヨシアキくんの方がかっこえーねんもん!」


やっぱりか貴様ー!!


こうして、3ヶ月の俺にとっては長い方の付き合いは、静かに幕を閉じる。

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2007/01/20 00:16 | Comments(0) | TrackBack() | 恋愛
猟奇的な彼女

やっぱ本当に良い男は、ちゃんと長く付き合ってるんですよ。
いやね、恋愛の話なんですけど、この顔で恋愛の話とかしちゃうのは恐縮なんですけど、
とにかく思うに、良い男は相手とちゃんと恋愛すると思うんです。
数は少なくともちゃんとした恋愛をして、そこそこ長く付き合ってると思うんです。
具体的に言うと、少なくとも年単位で。

例えば付き合って数ヶ月とか、数週間とかであっさりピリオド、とかいう男はいただけない。
仕事と同じで、ちょっとやって辞めて、というのは信用されない。これ真理アルね。
特に、3ヶ月とかが「付き合った期間ベスト3」に余裕でランクインしているような男は、
人間的に、少なくとも女性から見た男として、問題があると言わざるを得ないと思われ。
そういうのはいい男とは言えない。むしろ悪い。悪質。下の下。最悪。

ってまぁ、俺のことなんですけど、これは俺が高校生の頃、初めて付き合った女性の話。

彼女はハッキリ言って、ぶっ飛んでいた。
間違いなく歴代No.1。オンリーワンだけどナンバーワン。多分未来においても誰も勝てないと思う。
なんというか、よく言えば奇想天外。次の瞬間何するか分からない、飛天御剣流でも先読みできない女でした。
俺も、今では限りなく変態に近い変人、いやもう変態でもいいよあんまり立ち位置変わらないし、
ってな奴なんですけど、一応高校生なんかの頃は、かなり一般的な男子だったと思うんです。
顔はその頃から酷かったですけど、性格はいたって普通の根暗な高校生だったと思います。
当時は女性と付き合うのが初めてだったもんで、こんなもんかと思っていたが、
今考えると明らかに、いやいやおまえちょっとおかしい、と言うことが多々あった。

事件は次々と起こった。

一番最初の事件は「ファーストフード絞殺未遂事件」

その日の放課後、俺と彼女は2人で駅前のファーストフード店に来ていた。
当時夢見る男子高校生だった俺には、彼女が出来たら是非してみたいことがいくつかあり、
そのうちのひとつが、この学校帰りのファーストフードでハンバーガー食う、という実に庶民的な夢であった。
あと、一緒に登下校とか。

夢が叶ったと喜びながら夢の気分で、なんとかセットを食う。
彼女もご機嫌で、他愛のない話で盛り上がり、うふふあははってな世界が広がっていた。
そんなこんなで1時間も喋っただろうか、とっくに2人とも食べ終わっていた。
2人ともニコニコ。幸せの微笑み。

俺は何気なく、ひょいと手を伸ばして「ちょうだい」と言いながら、彼女のアイスティーを手にとってすすった。
あまり残って無くて、「ズズッ」っという音を出して飲みきった俺。
見ると彼女が般若になってた。
まるで大魔人のように、一瞬目を離した隙に、彼女が般若顔になっていた。
分かりやすく言うと、ジャムおじさんが次の瞬間、ブチ切れてるケンシロウになった感じ。
額にマンガみたいな血管マークまで浮かんで、ピクピクと震えている。
俺は彼女が何に怒ってるのか訳が分からず、笑顔が凍り付いた。ついさっきまで笑って会話してたのに。
い、一体彼女に何が?俺何したっけ?
「ど、どうしたの?」
と言う言葉とほぼ同時に、彼女の手がにゅっと伸びて、俺の首を絞めた。
こいつぅ~♪みたいな少女漫画系の絞めではなく、フリーザ対ゴクウ系の、80%ぐらい殺る気の首絞め。
そして「あなたには優しさが足りない!」と言いながら、80%..85%..90%..と、界王拳使いまくり。
どんどん殺る気を高め、俺の首はガンガン絞まる。

必死にふりほどく俺。それこそ必死だった。生まれて初めて、人に殺されるかも?と言う恐怖を感じた。
その腕を押さえ込んで、とにかく話をしようと必死。
ファーストフード店内の全員の視線が集中。
とにかく表に出て、彼女の話を聞くと、俺が了解も得ずに飲み物を取ったのが、許せなかったらしい。

彼女の反応には驚いたが、確かに俺が悪かったわけで、とにかく謝って許して貰う。
女性にはやっぱ、優しくしなきゃいけないなーと純真な俺は心に誓うわけで。

こんな事件が、3ヶ月の間に何度も起こった。この程度は週1ぐらい、特にでっかいのがあと2回。
当時は、そういうもんなのかなぁと思っていたので、怒られて謝って、
後で逆に謝られて優しくされてってのの繰り返しを、普通なんだと思ってた。

今なら、それなんてDV?って思うけど。

つづき。

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2007/01/19 23:32 | Comments(0) | TrackBack() | 恋愛

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