絵が好きなんです。
元々は、絵なんて全然興味無かったんですわ。
学生時代の美術の成績なんて、目を覆わんばかりの大惨事でしたからね。
絵好きの歴史はけっこー浅くて、5年前ぐらいが開始点。
その当時付き合っていた人が、車で半日以上かけて、はるか彼方の美術館に一人で行ったとかいう話をしたんですよ。ええ、この趣味も女が起点ですよ。俺の趣味の10割以上は、女起点となっております。
正直、思いましたね。
この人は一体何を言ってるんだ?って。
美術館なんざ、一体何が楽しいんだ?さっぱり意味がわからん。
そんな時間があるなら、納豆でダイエットでもしてたほうが、よっぽど有意義やんか。
でもやっぱ恋人だし、まだ初々しい時期だったから、正面きって
「美術館とか、アホかオメー」
とか正直に言うって、無理じゃないですか。
人の趣味に1ミリも理解を示さない、人としてどうかと思われる発言じゃないですか。
なのでその場は
「へぇぇ。素敵だね」
とかって軽く流してたんですわ。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。
それでも、絵の話をあんまりにも熱心に楽しそうに話すもんだから、その時点から興味が出ておりました。
ただ、わざわざ美術館に出かけようって気持ちにまではならんかった。