レシピが正しくないなんて事があるとは、思いもしなかった。夏。
例えばドリンクのレシピがあるとするじゃないですか。
ヨーグルトこれこれ、ミルクあれあれ、はちみつそれそれと、分量さえ間違えなければ、おいしいラッシーが出来ます。
料理のレシピは、作る人の腕が必要となるレシピもあるので多少変化しますが、それでも大体同じものが出来ます。
ところがお菓子。テメーはダメだ。
特に焼き菓子。こいつは本当に様々な要因が複雑に絡み合いやがるので、レシピどおりにいくら作っても、まともに出来なかったりする。
今年の初めに、初めて一日カフェをやることにしたとき。
シフォンケーキを出すべく、作りました。失敗しました。作りました。失敗しました。
いち、に、いち、に。
アマゾンでみんながオススメする、シフォンレシピ本の通りに作ってるし、メレンゲだって混ぜ方だって、動画を穴が開くほど見まくって作ったのに、なぜか失敗シフォンが死屍累々。
毎日毎日作って、毎日毎日失敗しましたわ。
こうして出来上がった失敗作は、おかんと姉貴に食べてもらいました。毎日くずれシフォン。
結局、カフェにはかろうじて成功している部分のみを提供する、という形で逃げ切りました。
後日。
落ち着いてから、色々と実験してみたんです。
オーブンレンジの指定温度と、実際の温度がズレている可能性があるので、わざわざオーブン用の温度計も買って、くるくる回る温度計をガン見しながら、温度を確かめたりもしてみました。
シフォンケーキの材料である、小麦粉、卵、砂糖、牛乳、油。
これらの比率を少しずつ変化させて、どういった違いが出るかも、試してみました。
こうして出来上がった失敗作は、おかんと姉貴に食べてもらいました。毎日くずれシフォン。
健康診断でひっかかって、主食がシフォンなのを白状して、先生に怒られたそうです。
こうして尊い犠牲の上に、俺は真理を得ました。
お菓子は、レシピどおりに作っても、絶対に上手く行かない場合がある。
例えば油。同じサラダ油であっても、コレステロールゼロとかいうのと、そうでないのは、生地のふくらみに違いが出る。
例えばオーブン。仮に温度が正しくても、オーブン内の空気の対流とか、底との温度差とかに個体差があるので、このあたりも考慮に入れる必要がある。
他にも小麦粉や卵、使う砂糖なんかも当然、それぞれに違いがある。
これらの組み合わせは、ほぼ無限。その無限の組み合わせのなかから、自分の使う材料や器具にうまいこと合うレシピが見つかればいいけど、そうでなかった場合は、いくらそのレシピをまねし続けても、絶対に成功しないと断言できる。
世の中にある「○○が失敗するときは、ここに気をつけて」的なアドバイスは、やれメレンゲの固さだとか、空気の抜き方に問題がだとか、いわゆるテクニックの問題と決め付けてくる事が多い。
もちろん、メレンゲや空気なんかも大切だし、統計としてはそちらに問題がある場合のほうが多いのでしょうが、それでも
「もしかしたらあなたは悪く無くて、レシピが間違ってるのかもよ」
ぐらいは言ってもいいと思うのに、そんな事言ってくれてる人も本も、俺の知る限り皆無です。
あまりにも成功しないレシピは、レシピを疑ってみてもいいかもしれないよ。