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2024/11/23 10:56 |
ドベからの逸脱による没個性について
子供の頃から、きわめて鈍足でした。

体育の100m走では常に、ぶっちぎりでドベでした。
具体的に言うと、当時クラスでは
 速い奴 15秒台
 普通 16-17秒台
 遅い奴 18秒台
ぐらいのタイム分布になってました。
この「遅い奴」ってのも、クラスに数人いるかどうかってくらいのレアキャラで、遅いことをネタにして笑いが取れるレベルでした。

そして俺はというと
 落伍者 22秒台(調子良くて)
という体たらくで、さすがにネタでも悲惨すぎて笑えない、というレベルでした。
俺が走るとき、みんな顔伏せてたもん。静まり返って通夜みたいだったもん。何人か泣いてたわ。

毎年毎年、最鈍の名を欲しいままにしていたんですが、ある学年に上がったときに、なんと俺と熾烈なドベ争いが出来るレベルの逸材と、同じクラスになったんです。

これまで、走りで人に勝った事など一度もありませんでした。
鬼ごっこでは永遠の鬼。
ケイドロでは脱獄されまくり。
バレンタインではチョコ0個。
多分、前世で飛脚でもいじめたんだと思います。
そんな呪われた宿命を背負った俺に、突如として舞い降りた勝利の味。
永遠に不可能と思われていた「足の速い人」側の人間に、なれるかもしれない!
足さえ速ければ、俺もイジメられないだろうし、もしかしたら女子とお話できたりするかもしれない!
そんな夢と希望を抱いてしまったんです。抱いて、しまった、んです。

それからというもの。
私は産まれて始めて、早く走るための努力をしました。
元ソフトボールの国体選手である叔母に頼み込んで、直々のフォーム矯正トレーニングを受け、日々練習を重ねました。手を伸ばせば届くかもしれない、甘美な勝利の味を夢見て、雨の日も風の日も、重いコンダラを引きかねない勢いで練習しました。

その結果。
わりとコンスタントに、彼に勝つことが出来るようになって来ました。
まぁトレーニングの成果というよりは、走るときだけ裸足になるという裏技を使った上での勝利なんですが。はだしっクス。
にもかかわらず、なんかおかしい。
思っていたようなモテイベントが発生しない。全然モテないままの平常運転。

それどころか、クラスで最も足が遅い男として認識された奴が、なんか人気者になってるんです。奴は持ち前の明るさとコミュ力で、足が遅いという事を自虐ネタとして使って笑いを取ったり、イジられキャラとして、その存在を確立したのです。
俺の存在感はドベでもブービーでも全く変わらなかったというのに、奴はドベになった途端、クラスでの注目度が倍増したのです。
同じドベでもこの差はなんだ。人間性か。そうか。

ドベというのは、ひとつの個性です。
個性は大切に、というありがたいお話でした。

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2014/04/30 23:35 | Comments(0) | 日常

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