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2024/11/27 05:56 |
壮大な物語なのに
テレビ関係者として働く俺は、アイデア出しの場で、ものすごく壮大なミステリーの企画を提案しました。

「登場人物は300人!死ぬ役は200人!うち100人は容疑者!」
「次々発生する不可能犯罪!」
「徐々に暴かれる大胆なトリック!(密室、遠隔、死体すり替え、時刻表、宇宙人、腕時計型麻酔銃、家政婦、宇宙から狙撃)」
「その裏で見え隠れする、世界規模の犯罪組織!」

なんか意外と好評で、話はどんどん進む。
配役も次々決まり、テレビを見ない俺でも知ってる超有名人ばっかりで、予算も国家クラスになっとった。

10クールぐらいでやっとシーズン1が完結するという、とんでもなく長い話。電話帳みたいな厚さの脚本が届けられる。
何年もかけながら、撮影は進む。
何故か俺も出演を果たした。犯人役で、人質をとりながらもがけっぷちに追い込まれた後、説得しようとする人情派刑事に、この犯罪を始めるにいたったエピソードを再現VTRまじりで長々と話した後、今まさに人質に手をかけようとした瞬間に、肩を狙撃されて逮捕されてしまうという役で出演する。7回ぐらいセリフ間違えてやり直しさせられた。人質役の女性が、間違えるたびに盛大なため息をつくのが辛かった。

それでもなんとかドラマは完成し、そしていよいよ放映!
視聴率は、なんとゼロ!
いやいや、ひとりぐらい見るだろうが。無慈悲なゼロでした。

そして、2話で打ち切りが確定した。
急遽、2話の撮り直しが行われる。
1話でちりばめまくった伏線をすべて回収しないといけないので、それはもうすごい話になった。
今まで顔の半分しか見えなかった悪役のボスとかも、何の説明もなしに次々現れては死んでゆく。大胆なトリックも、第一発見者が初見で見破る。CIAの陰謀とか宇宙戦争の登場はナレーションだけで終了。次々に要人が乗った車が爆発して、残された家族が復讐を誓って悪の組織で鍛えられて復讐を果たすシーンは、10秒のダイジェストにてまとめられた。

なんとか撮り終えて、疲れきった撮影スタッフの仲間たちと、
「何とかまとめられたな!」
「やれば出来るよな!」
とかって肩を叩きあいながら大団円。

とかいう夢を見た。
細かい部分がリアルで、特に俺がミスしたり責められたりしているシーンでは胃が痛かったです。

夢ですら、夢の無い話に絶望しました。

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2013/02/10 10:06 | Comments(0) | 日常

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