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2024/11/23 21:21 |
ギツクリに散る夏 その3
上司命令とはいえ休日なのに、東京から同僚が車で来てくれた。
同僚があちこちの病院に電話をかけて、俺を診てくれる病院を探してくれる。
土曜でお盆ということもあり、なかなか見つからず、だんだん同僚もイライラしてくる。
電話を切った後、舌打ちしながら悪態をつく同僚の横で、寝転がってて態度はデカいが、気分的にはますます小さくなる俺。
ごめんね、休みにこんなところまで来させた挙句、あちこち電話させてごめんね。

最終的に、救急病院にて診てくれる事に決まった。
てきぱきとタクシーを呼んでくれる同僚、カッコヨス。

そうか。決まったのか。
このまま決まらず、寝ているだけと言う選択肢もわりと魅力的だったんだけど、こうなった以上、重い腰というか痛い腰を上げるしかあるまい。

すごく待っててくださいよと伝え、ゆっくりゆっくりと起き上がる。
途中で手を貸そうとしてくれたんだけど、全力で拒否。
ギックリの時に人に無理やり動かされると、死ぬほど痛いから。これ豆な。
丸々1分ぐらいかけて、ようやく起き上がる。
起き上がったはいいけど、靴下を履くのはどう考えても無理。
そしたら同僚が履かせてくれた。
あんまり仲良くも無い上に、ちょっと先輩でもある同僚に、靴下を履かせてもらうという景色。
むちゃくちゃありがたいんですが、変な空気漂ったわ。

靴を履き、これまた1分以上かけて立ち上がる。
もう今すぐにでもベットに戻りたい痛みが、体中のあちこちに発生。
でも行くしかない。
壁の電気スイッチなどのわずかな出っ張りを掴み、指筋を使って体を持ち上げる。
ギックリの時は、指筋が移動の要になったりするから。これも豆な。
クライミングやっててよかったと思った瞬間。

部屋を出て、ゆっくりとエレベータへ。
壁伝いにゆっくりと歩いていく。
バランスが悪いらしく、腰の左側の方が痛い。
そのため、左足をかばうような歩き方になってしまう。
ゆっくりゆっくり、足を引きずるようにして歩くこの様が、何かを彷彿とさせるよなーとずっと考えてたんだけど、ようやく気づいた。
バイオハザードに出てくる、ゾンビの歩き方にそっくりだわ。移動速度も似てる。そういえば顔もゾンビ。
そうかー、これはTウイルスだったのかー。

なんとかホテル入り口までたどり着く。
程なくしてタクシー登場。
乗り込むときも大変だった。
前に首を痛めた時も思ったんだけど、車の座席に乗り込む時って、入り口部分の屋根がすっげぇ邪魔なのな。
ここで首を曲げないと、頭がつっかえてしまう。
この部分が跳ね上げられたら良いのにと、毎回思うが毎回忘れる。

運転手の方は気を使って、かなりゆっくり運転してくれたんだけど、最後に細い道で対向車を避ける際に、タイヤが路肩に乗り上げて、車が大きく揺れた。
ただ座っているだけでも辛いのに、突然のビックサンダーマウンテンに、俺の腰はエレクトリカルパレード。
正直その場で車を止めて、痛みが引く時間が欲しかったんだけど、これの腰などお構いなしに世界は回る。
そして病院前に到着。
俺はまだパレードの余韻に浸っていたので、動けるような状態ではなかった。
だが、運転手さんが気を利かせたのかなんなのか、病院入り口に横付けしてくれたので、後ろから万が一救急車が来たらどうしようそして俺のせいで搬送が遅れて処置が間に合わなくてピーご臨終ですあと1秒速かったらこんなことにはとかなったら俺間接的に人を殺しちゃうことになるやだやだ殺人はあかんこりゃ行くしかないたとえ俺がどうなろうとも。
そのような思考の末、死ぬ気で車を出る。

受付して、中に通される。
そこは救急で搬送された時に、まず最初に入る部屋だった。
まさか一ヶ月に二回も、救急で処置を受けることになるとは。

まず、青いワンピみたいなのに着替えさせられる。
タンカみたいなのに腰掛けて待つ。
天使に、これに寝るか?と聞かれるが、寝たら起きるのが辛いので、そのまま座って待つことにする。

小一時間。そのまま放置される。
しまった。俺ほどのベテランが、救急搬送後は、かなりの時間放置されることを失念していた。
すぐに処置してもらえると思って、座ってると宣言してしまった。
座ったままでいるため、徐々に痛くなる腰。
誰も来てくれないし、次々重症そうな人は運び込まれるしで、これはもう自分で何とかするしかないと判断。
もしかしたら、立っていたほうが楽かもしれない。
とりあえず立とうと、ゆっくりゆっくり立ち上がろうとするも、痛みでほとんど動けない。
そこに天使が来て、あまりにもキツそうな俺を見て、動かないほうが良いよと忠告してくれる。
ならば寝ていたほうが良いかと思い、これまたゆっくりと就寝体制に。
時間はかかったけど、これはうまくいった。
これで放置されても、安心して待っていられる。

それからもまたかなりの時間放置され、ここに来て累計1時間以上経ってから、ようやくかまってもらえることになった。
レントゲン、診察と流れるように進み、そして背中に注射という人生初の処置も、流れるように終わる。
それほど痛くは無かったけど、刺さるタイミングが見えないって、結構怖い。

結局は、ヘルニアとかそういったものではなく、腰が炎症を起こしている、いわゆるぎっくり腰にあたるものである、という診察結果を受ける。
湿布とコルセットをつけ、可能な限り安静にし続けること。
風呂はダメ。
など、色々と言われて終了。

元の部屋に戻って、またしばらく待たされる。
その後、天使登場。
痛みがあると、それを避けようとして余計に体が悪くなってしまうということから、痛みを取り除く為に、痛み止めを使いますと天使に言われる。
即効性があるので座薬を使いますと、さらっと言われた。

oh! Za・Ya・Ku!
exitからenterしちゃうアレですか!
これまで避けに避け続け、外科手術前に「大が出なかったら官庁(あえて誤字)します」という天使の宣言に、死ぬ気で大を出して闖入を避けた俺に、とうとう避けて通れない試練が。

内心同様しまくる俺をスルーして、天使はあっさり決行。
にゅいって感覚、来た。
便秘とかで、出そうで出ないときに、がんばって入り口付近まで来させたのに、そこで力尽きて戻ってしまったりする時ってあるじゃないですか。
あの感覚と同じだった。当たり前だけど。

天使は
「無くなったら溶けたって事だから、教えてくださいね」
とか言って去っていったけど、正直在るのか無いのかなんてわからんし。
なんか姿勢変えたら、問題のブツが出てきたような気がしたので、手で押さえる。
指先に、硬い何かが当たる。これがZAYAKUかぁ。
ここまで来てしまったか。もう純粋だったあのころには戻れないなぁ。
ってか、何かすっごい入り口にいて、半分出ているような気がするんだけど、これで本当にいいのだろうか。

天使が来て、無くなってるか聞いてきたけど、分からないと答える。
分からないってことは無くなったんですよと、よくわからんポジティブシンキングで、処置完了となる。

受付で散々またさせた同僚にわびつつ、病院を出る。
その後、薬をもらうのに向かいの薬局で、これまた1時間以上待たされる。
座ってたら辛いのでずっと立ってたけど、もうフラフラでしたわ。
薬出てくるのって、何であんなに遅いんだろうね。

そしてまたタクシーに乗り、ホテルに戻る。
処置はしてもらったけど痛みが改善したわけではないので、結局同じような時間をかけてベットに戻る。
最後に同僚にお金を渡して、食べ物と飲み物をしこたま買ってきてもらう。

同僚が帰り、ようやく一人になる。
音速で素っ裸になり、ベットに横になる。

ぎっくり腰は3日間ぐらいがキツく、それを過ぎると動けるようになるとか聞いた。
それで行くと本日は2日目。
明日は3日目だし、劇的に改善しているといいなぁ。

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2012/08/31 22:52 | Comments(0) | 日常

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