俺のおみや

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あー終わった終わった。
ダンスの発表会が、終わってしまいましたよ。
思えば、大人になってから「発表会」と名の付くものに出たのは初めてだった。

フリの練習は、本番の三ヶ月前からスタート。
普段はメンバーは流動的なんだけど、その間はメンバー固定。
クラス内で、完全な初心者は俺だけ。三十路はもちろん社会人も俺だけと言う状態。

俺が１００回やっても出来なかった技を、目の前であっさりやってのける小学生に、本気で教えを請うたりしてた日々。
４時間ぶっ通しで練習しまくった結果、その後３日間全身筋肉痛で、時速１メートル以下でしか歩けない体になったりした日も。
クロスハンドがどう贔屓目に見てもキモくて、どうすればキモくないのか、鏡の前で何度も何度も練習した日々。
結果、そもそも顔がキモイという結論に至り、鏡を叩き割って切腹した。
携帯で先生の動画を撮らせてもらい、ＰＳＰで何度も何度も見た。主に仕事中に。

すべては、発表会その日のために。
わすが５分程度の、その瞬間のために。

発表会前日の朝からリハーサル開始。
出るクラスが多いので、ひとクラス３分ほどしか時間が無いんだけど、その時間を使ってまずは立ち位置のチェック。
ステージは、普段練習しているスタジオよりも圧倒的に広いので、移動の感覚が全然違う。
どの移動のときにどれぐらい移動しなきゃならんのか、と言うことを全体のバランスを見ながら決める。
ってか３分はやはり短くて、２個目ぐらいのフォーメーションの位置で、みんなであれこれモメてたら、あっという間に終わりました。どーすんだ。

あとはちょこちょこ当日の説明とかがあり、実際に音を流して立ち位置を決める。
これも各クラス１０分も無い。
俺が出るまでに数時間空きがあったので、しばらく外出。
時間３０分前に戻ってきて、控え室で出番を待ってのんびりしてたら、先生に呼び出される。
建物の裏でみんな練習していると言うことなので、俺もそれに混ざる。
外は少し寒かったけど、練習してたらすぐに暑くなった。全員半袖。
真冬の滋賀で半袖集団なんて、おそらくここだけ。
薄暗い空の下で、小さな駐車場で音出して、みんなでダンス。
フリを確認しあったり、近くの人と二人だけで合わせてみたり。
こういうの、憧れてたんだよねー。よもや３０越えてこんな経験が出来るとは。
違うジャンルのクラスの人とかとも話せたりして、楽しかった。

リハの出番になったのでステージへ。
合計２回音を出すと言うことで、１回目は移動と立ち位置の確認。
本気出したらバテるから、１回目は手を抜けと言われていたのに、いざステージに上がって音がなったら、そりゃあ調子に乗ってしまいますわな。
うん。普通にバテた。
おまけに、予想通り俺の位置からは、相当移動距離がある事が判明。
ステップ踏みながら移動するフリなんだけど、ステップなんか踏んでたら間に合わない。
おもくそジャンプするしかこの距離は埋められぬ。縮地の１歩手前ぐらいは出してた。

そして２回目。
すでにバテバテながら、本気でやった。
周りは今までセーブしていたみたいで、本気で踊られたら全然ついていけなかった。
今まで「もしかしたら俺、結構混じれてるんじゃね？」とか思っていたけど、それは周りに手加減してもらってたからと言うことが判明。刹活孔突くべきか、ちょっと迷った。
GET DOWNはやっぱり失敗した。それ以外にも、今までに失敗しなかったようなところで失敗した。
当たり前のようにやってるところで失敗すると、「あれ？そもそも今までどうやってたっけ？」とか考えてしまってわけわからんくなる。
ヤバイ。
もう本番直前のゲネプロしか踊るチャンスは無いのに、ヤバ過ぎる。
その最後の一回にかけるしかない。
奇跡を呼ぶしかない。

この後、先ほどの踊りをみんなでビデオで確認しながら、先生に立ち位置を細かく指示される。

これでリハはおしまい。
後はゲネプロと本番のみ。
家に帰ってから、最後の悪あがきでGET DOWNの練習をしまくる。
俺は試験でも、最後の１秒まで悪あがきした挙句、退室可能時間ぴったりに帰る奴より、はるかに残念な点数を取るタイプ。