大学卒業前、最後の夏。
就職氷河期と呼ばれる時代、俺はある会社の面接を控えていた。
当時も今と変わらず不器用な俺は、複数の会社を選ぶようなまねが出来ず、最初に見つけた一社をガン見してた。もうあなたしか見えません。
大阪の会社で、その時はもう「ここしかない!」ぐらいに惚れ込んでいた。
今では名前すら思い出せないけど。
そして運命の面接の日!
面接は朝10時から!!
起きたら昼過ぎてた。
ズコー。
もうね。あの時ほど強烈な目覚めは無かったね。
目覚まし見て、真剣に世界の滅亡を祈ったもの。
これまで、大学の入学式に遅刻したり、人生を賭したデートに遅刻したりしても、眠いのはしょうがないって態度を改めなかったけど、この時ばかりはさすがのアホの子も猛省したよ。
速攻、面接を受けるはずだった会社に電話して、とにかく謝罪に次ぐ謝罪。
コメツキバッタか俺かというぐらい、電話の前でヘコヘコしてた。
向こうの人事の人に、事務的に
「では後日また連絡します」
と言われ、電話は終了。もちろん連絡をするという後日とやらは、未だ来ていない。
それが俺の、最初の就職活動。
つまりは大成功。
是非、若い人たちに見習って欲しい。
就職活動において、1社目で戦いもせずに惨敗した俺は、なんとなく就職活動を続けていた。
一応、会社説明会に行ったり、気になる会社に見学に行ったりしていたんだけど、実際に会社の面接を受けたりはしなかった。
正直面倒だったのと、授業が多くて忙しかったというのもある。
俺という人間は今も昔も、とにかく何をするにもノロく、尻に火がつかないとなんにも出来ない人。
大学の1回生前期で、7単位しか取得していないという、非常に珍妙な行動をしたせいで、後にしわ寄せがモロにきてた。
たった2単位、落としたらもう卒業できない、というレベルにまで追い込まれており、とっくに卒業単位を取得した友人たちが全然学校に来なくなっても、俺は毎日朝から晩まで授業入れてた。
こーして日々の雑務に終われ、当然、就職は決まらないまま時間だけが過ぎていった。
卒業を数ヵ月後に控えたある日。
卒業数ヶ月前にハロワからハガキがきた。
県内のある会社の、面接の案内。
何も考えずに、その会社の面接に行った。
どんな会社かも知らないし、何してるのかもよく分からないまま。
面接に行くと、まずは色々と書かされた。
住所氏名はもとより、志望動機とかそんなの。
こっそりそばにあった会社のパンフレットを取り、一気に読んでこの会社の事を知った。
そこから色々と抽出し、たった今思いついた志望動機なんかで埋めまくった。
「御社は県内随一のー 御社の将来性にー」
とか、ちょっと訓練したならサルでも書けそうな文章で埋めた。
たまたまその時は、面接官となった部長がキャラで取ったと豪語するほど、ヘンな奴を集めた年だったので、俺はあっさりと合格した。
そして4月から、プログラマとなった。
実際にプログラマらしい仕事をするのは、それから2年後だけど。
これが、俺の就職活動のすべて。
この会社でなければダメだ!って理由があったわけでもないし、将来のビジョンなんか全く無かった。
そもそもプログラマも、絶対なりたいと思っていたわけではなく、あくまでも候補のひとつだった。
元々はカスタマエンジニアという、客先に出向いてのコンピュータの保守や修理を担当したりする人になりたかった。
元々接客業のバイトばかりやってきたので、人対人の仕事に自信があった。今は皆無。
にもかかわらず、今はプログラマや、システムエンジニアと分類される仕事をしていおり、しかも今の自分にはぴったりだと認識してる。
仕事の向き不向きなんて、わからんもんだな。
でも、プログラマとひとくくりには出来ないけど、この仕事は人を選ぶと思う。
真面目で責任感が強く、与えられた仕事をもくもくとこなす。
こんな、絵に描いたような有能な人は、プログラマに向かない。
大抵、心を病んでしまいます。
心を病んでしまったり、ある日突然来なくなったり、狂ってしまったりした人を何人見てきただろう。
突然奇声を上げて、窓からパソコンを投げ捨てた(ちなみに8階)りした人もいたよ。
俺はペーペーのくせに、なんちゃって管理職で部下がいるのな。
彼はもう、絵に描いたような優秀なビジネスマン。指示待ち族。
真面目で責任感が強く、もくもくと仕事をこなす。おまけにイケメン。俺より若い。
しかし前記のとおり、こういった人として優秀な奴は、この仕事に向かない。
俺は毎日のように怒鳴り散らし、優秀で品性良好な彼に、プログラマの道を説きまくった。
優柔不断で指示を仰ぎまくり、めんどくさがりで仕事は作ったプログラムにさせ、自分はサボる。
こういった、人としては底辺、つまり俺のような優秀なプログラマになれと、言い続けてきた。
まぁその結果、モテない友達いない坊主頭あとモテないとかいう結果になるってのが分かりきってるんだから、そりゃ彼も拒絶するわな。
そして彼は、突然会社に来なくなった。
家族によれば、家にも帰ってないらしい。
就職氷河期と呼ばれる時代、俺はある会社の面接を控えていた。
当時も今と変わらず不器用な俺は、複数の会社を選ぶようなまねが出来ず、最初に見つけた一社をガン見してた。もうあなたしか見えません。
大阪の会社で、その時はもう「ここしかない!」ぐらいに惚れ込んでいた。
今では名前すら思い出せないけど。
そして運命の面接の日!
面接は朝10時から!!
起きたら昼過ぎてた。
ズコー。
もうね。あの時ほど強烈な目覚めは無かったね。
目覚まし見て、真剣に世界の滅亡を祈ったもの。
これまで、大学の入学式に遅刻したり、人生を賭したデートに遅刻したりしても、眠いのはしょうがないって態度を改めなかったけど、この時ばかりはさすがのアホの子も猛省したよ。
速攻、面接を受けるはずだった会社に電話して、とにかく謝罪に次ぐ謝罪。
コメツキバッタか俺かというぐらい、電話の前でヘコヘコしてた。
向こうの人事の人に、事務的に
「では後日また連絡します」
と言われ、電話は終了。もちろん連絡をするという後日とやらは、未だ来ていない。
それが俺の、最初の就職活動。
つまりは大成功。
是非、若い人たちに見習って欲しい。
就職活動において、1社目で戦いもせずに惨敗した俺は、なんとなく就職活動を続けていた。
一応、会社説明会に行ったり、気になる会社に見学に行ったりしていたんだけど、実際に会社の面接を受けたりはしなかった。
正直面倒だったのと、授業が多くて忙しかったというのもある。
俺という人間は今も昔も、とにかく何をするにもノロく、尻に火がつかないとなんにも出来ない人。
大学の1回生前期で、7単位しか取得していないという、非常に珍妙な行動をしたせいで、後にしわ寄せがモロにきてた。
たった2単位、落としたらもう卒業できない、というレベルにまで追い込まれており、とっくに卒業単位を取得した友人たちが全然学校に来なくなっても、俺は毎日朝から晩まで授業入れてた。
こーして日々の雑務に終われ、当然、就職は決まらないまま時間だけが過ぎていった。
卒業を数ヵ月後に控えたある日。
卒業数ヶ月前にハロワからハガキがきた。
県内のある会社の、面接の案内。
何も考えずに、その会社の面接に行った。
どんな会社かも知らないし、何してるのかもよく分からないまま。
面接に行くと、まずは色々と書かされた。
住所氏名はもとより、志望動機とかそんなの。
こっそりそばにあった会社のパンフレットを取り、一気に読んでこの会社の事を知った。
そこから色々と抽出し、たった今思いついた志望動機なんかで埋めまくった。
「御社は県内随一のー 御社の将来性にー」
とか、ちょっと訓練したならサルでも書けそうな文章で埋めた。
たまたまその時は、面接官となった部長がキャラで取ったと豪語するほど、ヘンな奴を集めた年だったので、俺はあっさりと合格した。
そして4月から、プログラマとなった。
実際にプログラマらしい仕事をするのは、それから2年後だけど。
これが、俺の就職活動のすべて。
この会社でなければダメだ!って理由があったわけでもないし、将来のビジョンなんか全く無かった。
そもそもプログラマも、絶対なりたいと思っていたわけではなく、あくまでも候補のひとつだった。
元々はカスタマエンジニアという、客先に出向いてのコンピュータの保守や修理を担当したりする人になりたかった。
元々接客業のバイトばかりやってきたので、人対人の仕事に自信があった。今は皆無。
にもかかわらず、今はプログラマや、システムエンジニアと分類される仕事をしていおり、しかも今の自分にはぴったりだと認識してる。
仕事の向き不向きなんて、わからんもんだな。
でも、プログラマとひとくくりには出来ないけど、この仕事は人を選ぶと思う。
真面目で責任感が強く、与えられた仕事をもくもくとこなす。
こんな、絵に描いたような有能な人は、プログラマに向かない。
大抵、心を病んでしまいます。
心を病んでしまったり、ある日突然来なくなったり、狂ってしまったりした人を何人見てきただろう。
突然奇声を上げて、窓からパソコンを投げ捨てた(ちなみに8階)りした人もいたよ。
俺はペーペーのくせに、なんちゃって管理職で部下がいるのな。
彼はもう、絵に描いたような優秀なビジネスマン。指示待ち族。
真面目で責任感が強く、もくもくと仕事をこなす。おまけにイケメン。俺より若い。
しかし前記のとおり、こういった人として優秀な奴は、この仕事に向かない。
俺は毎日のように怒鳴り散らし、優秀で品性良好な彼に、プログラマの道を説きまくった。
優柔不断で指示を仰ぎまくり、めんどくさがりで仕事は作ったプログラムにさせ、自分はサボる。
こういった、人としては底辺、つまり俺のような優秀なプログラマになれと、言い続けてきた。
まぁその結果、モテない友達いない坊主頭あとモテないとかいう結果になるってのが分かりきってるんだから、そりゃ彼も拒絶するわな。
そして彼は、突然会社に来なくなった。
家族によれば、家にも帰ってないらしい。
さすがに今度ばかりは、あぁまたかでは済まなかった。
ほぼ間違いなく、俺のせいだし。
JRの人身事故とか、むちゃくちゃ気になったよ。
奴の分の仕事がそのまま俺にのしかかって、むちゃくちゃ忙しくなりながらも、5分に1回JRのページ更新してた。
実際、俺が気に病んだってしょーがない。
奴も大人だし、自分で決めるだろうと自分を納得させようとするも、今にも氏を選ぼうとしているやもしれぬ奴の絵がうかんで、冷静ではいられない。
「自分を優秀な技術者とか、神をも恐れぬ壮大なスペクタクルで勘違いをしている奴にいびられました。ヒント奴は坊主30歳独身永遠にフォーエバー彼女なし」
とか書いた遺書をしたためているやも知れぬ。
仕事に忙殺され、胃を傷めながら1週間が過ぎた。
どうやら家には帰った様子。放浪の旅は終わったようだ。
そして会社にも来たらしい。
やはり、辞めるつもりであると。
自分には向かない、と。
確かに奴は、向いてない。
奴は頭が良い。真面目過ぎる。責任感が強くて、すべてを背負い込みすぎる。
通常美徳とされるこれらが、本当に足かせになってる。
なんともおかしな仕事だよ。
結局、上司の説得と本人が考え抜いた結果、もう一度やってみる事になったみたい。
どちらを選ぼうが、本人次第。
向いてない道をさらに歩くか、向いてないながらも長年歩いてきた道を捨てるか。
いずれにしても辛い選択だ。
だけど本人が、また歩くというのなら、俺もその歩みが少しでも楽になるよう、また素行不良への道を説くしかあるまいケケケケケ。あのイケメン、俺みたいにしてやるー。モテるなら今のうちだぞー。
「本人次第」と突き放しておきながら、至極ホッとした自分がいた。
まぁ、よかったんじゃないかな。
ほぼ間違いなく、俺のせいだし。
JRの人身事故とか、むちゃくちゃ気になったよ。
奴の分の仕事がそのまま俺にのしかかって、むちゃくちゃ忙しくなりながらも、5分に1回JRのページ更新してた。
実際、俺が気に病んだってしょーがない。
奴も大人だし、自分で決めるだろうと自分を納得させようとするも、今にも氏を選ぼうとしているやもしれぬ奴の絵がうかんで、冷静ではいられない。
「自分を優秀な技術者とか、神をも恐れぬ壮大なスペクタクルで勘違いをしている奴にいびられました。ヒント奴は坊主30歳独身永遠にフォーエバー彼女なし」
とか書いた遺書をしたためているやも知れぬ。
仕事に忙殺され、胃を傷めながら1週間が過ぎた。
どうやら家には帰った様子。放浪の旅は終わったようだ。
そして会社にも来たらしい。
やはり、辞めるつもりであると。
自分には向かない、と。
確かに奴は、向いてない。
奴は頭が良い。真面目過ぎる。責任感が強くて、すべてを背負い込みすぎる。
通常美徳とされるこれらが、本当に足かせになってる。
なんともおかしな仕事だよ。
結局、上司の説得と本人が考え抜いた結果、もう一度やってみる事になったみたい。
どちらを選ぼうが、本人次第。
向いてない道をさらに歩くか、向いてないながらも長年歩いてきた道を捨てるか。
いずれにしても辛い選択だ。
だけど本人が、また歩くというのなら、俺もその歩みが少しでも楽になるよう、また素行不良への道を説くしかあるまいケケケケケ。あのイケメン、俺みたいにしてやるー。モテるなら今のうちだぞー。
「本人次第」と突き放しておきながら、至極ホッとした自分がいた。
まぁ、よかったんじゃないかな。
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