手術に際して、大体の予定はこんな感じだった。
術後、1週間で管および小顔強制バンドが撤去される。
2週間で口を開き、開口訓練。
リハビリが続き、1ヶ月ぐらいで退院。
そしてついに、二週間目がやってきた。
病める時も健やかなる時も、いつもいつまでも末永く永遠に閉じっぱなしだったこの口。
流動食に泣かされ、ミキサー食初期段階では歯磨きと食事を同時進行させないと食事にならない破目になり、簡単なことを伝えるだけなのに筆談しなきゃならんくて癇癪起こしそうになったり、とてもとても苦労してきたこの口封じ。
これだけ閉じられたら、相当コスモも貯まってるはずだ。
いよいよ、この閉ざされた口が開くときが!
こ の 日 を ど れ だ け 待 ち わ び た こ と カ ッ ッ ッ !
ついにこの入院生活において、ほぼ制約が無くなる!
この、うにょうにょ感ただよう口の中も洗えるし、食べ物も何でも食べられるし、自由に喋ることも出来る!
あああ口が開くってなんてすばらしいんだ。
術後、1週間で管および小顔強制バンドが撤去される。
2週間で口を開き、開口訓練。
リハビリが続き、1ヶ月ぐらいで退院。
そしてついに、二週間目がやってきた。
病める時も健やかなる時も、いつもいつまでも末永く永遠に閉じっぱなしだったこの口。
流動食に泣かされ、ミキサー食初期段階では歯磨きと食事を同時進行させないと食事にならない破目になり、簡単なことを伝えるだけなのに筆談しなきゃならんくて癇癪起こしそうになったり、とてもとても苦労してきたこの口封じ。
これだけ閉じられたら、相当コスモも貯まってるはずだ。
いよいよ、この閉ざされた口が開くときが!
こ の 日 を ど れ だ け 待 ち わ び た こ と カ ッ ッ ッ !
ついにこの入院生活において、ほぼ制約が無くなる!
この、うにょうにょ感ただよう口の中も洗えるし、食べ物も何でも食べられるし、自由に喋ることも出来る!
あああ口が開くってなんてすばらしいんだ。
その日、処置室に呼ばれた俺は、いつもの歯医者イスに座った。
今日はいつものように、口の中を見ておしまいではない。
この口の戒めを、ついに外す時が!
一体どうなってしまうんだ俺はー。ちゃんと喋ったりできるのかなー。まずは何食べようかなー。
とってもドキがムネムネしてきた。
ついに歯をぐるぐる巻きに縛っていた紐を、主治医がパチンパチンとはさみで切っていく!
おおお、なんか少しずつ開放感がー
あ?
お?
あれ?あれあれあれ?
なんだこの感じ。
なんかあれあれあれ?
戒めが緩まるにつれて、なんか下あごが地球に引かれて落ちていく感じが。
ニュートン先生も、これで万有引力に気づいたそうだけど、俺のアゴも9.8Gで落ちていくー。
全然これっぽっちも力が入らない。開いた口が塞がらない。
口を開けてるのか開けてないのか、自分でもよくわからない。
なんか、ぐいっと天使が口をこじ開けて、ずっと俺がかみ締めていたプレートを取り出した。
俺はこんなのを二週間、噛み締めてました。
口を開閉してみてくださいとか言われる。
開閉しているつもりなのだが、どうやら全然動いてない様子。
もしかして普通は動くものなのかな..
ってか口を開くときって、どこに力を入れるんだったっけ??
歩き方とかと同じで、口の開き方なんて考えたこと無いから分からないぞ。
すぐさま、小さな輪ゴムを歯の突起にかけて、歯の上下を締める。
この突起は、手術直前に矯正歯科の方で着けてもらったものだ。
紐で縛られていた時は、口を閉じたときの歯の位置は、理想的なものになっている。
紐を外すと、口は適当な位置に移動するし、筋肉がアゴを以前の位置に戻そうとしてしまうので、ゴムをひっかけてそれを阻止し、正しい位置に矯正する。
突起はすべての歯の表面に着けてあり、時と場合により、どの突起を使うか決める。
先生がその時のあごの状態を見て、どの突起を使ってあごをどっちの方向に引っ張るかを決める。
右にズレているなら左を強めに引っ張り、逆なら右に。
紐がなくなると不安定になるので、これからは食事とリハビリの時以外はゴムで正しい位置にしておく。
大体、向こう半年から1年は。
長っ!
でもこれを怠ると以前の状態に逆戻りしたりするらしい。
せっかく手術したのに悪化したり、再発の可能性が高くなるので、絶対に絶対にゴム付けを怠るなと、天使にきつく言われた。2回ぐらい言われた。
ゴムはこんな感じ。
閉じたところ。
開いたところ。
ゴムをかける位置は、その時々で変わるんです。
天使が歯の絵を描いてくれて、最初はそれを見ながらかけてました。
このゴムを、わずかな突起に引っ掛けると言うのは、想像以上に大変な作業でした。
最初は、病院がくれた小さなプラスチックのツマミみたいなものでやってたんですが、2本のゴムをかけるだけで、30分かかりました。
3点に引っ掛けるんですけど、その後さらに二重に引っ掛けたりするんですが、その時どうしても外れてしまって、本当に苦労しました。ちょっと泣いてました。
ホント、天使に泣きつこうかと何度も思いましたけど、退院後もこの作業は続くし、俺が慣れなきゃいかんわけだし。
鏡の前で悪戦苦闘で30分ですよ。嫌な汗かきまくって熱がぶり返して、その後しばらく動けませんでした。
こらあかんと思いましてね。
ピンセットを貸してくれってナースセンターに行ったんです。疲れのあまりキレ気味で。
そしたら、貸せないってあっさり言われたんです。
ならもうええわ!って洗面所に戻ったんです。キレ気味に。
その後天使が追いかけてきて、売店に売ってるから、今後も使うし買っておいたほうがいいって教えてくれたんです。
買いました。加えて病室でも出来るように、手鏡も。
手鏡、ピンセット、ゴムの三種の神器。
この日以降、必ず持ち歩くものとなりました。
太いゴムなんですけど、アクビした拍子に切れたりするんですよこれが。
ゴムは結構強く締められてて、結構大変。
「常時、70%ぐらいの力で歯を噛み締め続けてる」と考えてもらえると、この辛さが分かってもらえるかと。
だんだんとアゴが疲れてくるんですよね。そして反比例して無駄にイライラが募る。
そしてその後は痛くなるんです。アゴ全体が疲れて痛い。
でも痛くなっても、どうしようもないんです。
どんなに頑張っても、口はほとんど開かないですしね。
弱い、疲れきった痛みが、ずーーーーーっと続くの。
夜とかまた最悪で、口を押さえて、痛いよう痛いようって泣いてた。
でもアクビとかクシャミが、口が開くことにより痛くなくなったのが、とってもありがたい。
喋れることもありがたい。
しかし、ありがたがってばっかもいられず、ここから恐怖のリハビリが待っていた。
今日はいつものように、口の中を見ておしまいではない。
この口の戒めを、ついに外す時が!
一体どうなってしまうんだ俺はー。ちゃんと喋ったりできるのかなー。まずは何食べようかなー。
とってもドキがムネムネしてきた。
ついに歯をぐるぐる巻きに縛っていた紐を、主治医がパチンパチンとはさみで切っていく!
おおお、なんか少しずつ開放感がー
あ?
お?
あれ?あれあれあれ?
なんだこの感じ。
なんかあれあれあれ?
戒めが緩まるにつれて、なんか下あごが地球に引かれて落ちていく感じが。
ニュートン先生も、これで万有引力に気づいたそうだけど、俺のアゴも9.8Gで落ちていくー。
全然これっぽっちも力が入らない。開いた口が塞がらない。
口を開けてるのか開けてないのか、自分でもよくわからない。
なんか、ぐいっと天使が口をこじ開けて、ずっと俺がかみ締めていたプレートを取り出した。
俺はこんなのを二週間、噛み締めてました。
口を開閉してみてくださいとか言われる。
開閉しているつもりなのだが、どうやら全然動いてない様子。
もしかして普通は動くものなのかな..
ってか口を開くときって、どこに力を入れるんだったっけ??
歩き方とかと同じで、口の開き方なんて考えたこと無いから分からないぞ。
すぐさま、小さな輪ゴムを歯の突起にかけて、歯の上下を締める。
この突起は、手術直前に矯正歯科の方で着けてもらったものだ。
紐で縛られていた時は、口を閉じたときの歯の位置は、理想的なものになっている。
紐を外すと、口は適当な位置に移動するし、筋肉がアゴを以前の位置に戻そうとしてしまうので、ゴムをひっかけてそれを阻止し、正しい位置に矯正する。
突起はすべての歯の表面に着けてあり、時と場合により、どの突起を使うか決める。
先生がその時のあごの状態を見て、どの突起を使ってあごをどっちの方向に引っ張るかを決める。
右にズレているなら左を強めに引っ張り、逆なら右に。
紐がなくなると不安定になるので、これからは食事とリハビリの時以外はゴムで正しい位置にしておく。
大体、向こう半年から1年は。
長っ!
でもこれを怠ると以前の状態に逆戻りしたりするらしい。
せっかく手術したのに悪化したり、再発の可能性が高くなるので、絶対に絶対にゴム付けを怠るなと、天使にきつく言われた。2回ぐらい言われた。
ゴムはこんな感じ。
閉じたところ。
開いたところ。
ゴムをかける位置は、その時々で変わるんです。
天使が歯の絵を描いてくれて、最初はそれを見ながらかけてました。
このゴムを、わずかな突起に引っ掛けると言うのは、想像以上に大変な作業でした。
最初は、病院がくれた小さなプラスチックのツマミみたいなものでやってたんですが、2本のゴムをかけるだけで、30分かかりました。
3点に引っ掛けるんですけど、その後さらに二重に引っ掛けたりするんですが、その時どうしても外れてしまって、本当に苦労しました。ちょっと泣いてました。
ホント、天使に泣きつこうかと何度も思いましたけど、退院後もこの作業は続くし、俺が慣れなきゃいかんわけだし。
鏡の前で悪戦苦闘で30分ですよ。嫌な汗かきまくって熱がぶり返して、その後しばらく動けませんでした。
こらあかんと思いましてね。
ピンセットを貸してくれってナースセンターに行ったんです。疲れのあまりキレ気味で。
そしたら、貸せないってあっさり言われたんです。
ならもうええわ!って洗面所に戻ったんです。キレ気味に。
その後天使が追いかけてきて、売店に売ってるから、今後も使うし買っておいたほうがいいって教えてくれたんです。
買いました。加えて病室でも出来るように、手鏡も。
手鏡、ピンセット、ゴムの三種の神器。
この日以降、必ず持ち歩くものとなりました。
太いゴムなんですけど、アクビした拍子に切れたりするんですよこれが。
ゴムは結構強く締められてて、結構大変。
「常時、70%ぐらいの力で歯を噛み締め続けてる」と考えてもらえると、この辛さが分かってもらえるかと。
だんだんとアゴが疲れてくるんですよね。そして反比例して無駄にイライラが募る。
そしてその後は痛くなるんです。アゴ全体が疲れて痛い。
でも痛くなっても、どうしようもないんです。
どんなに頑張っても、口はほとんど開かないですしね。
弱い、疲れきった痛みが、ずーーーーーっと続くの。
夜とかまた最悪で、口を押さえて、痛いよう痛いようって泣いてた。
でもアクビとかクシャミが、口が開くことにより痛くなくなったのが、とってもありがたい。
喋れることもありがたい。
しかし、ありがたがってばっかもいられず、ここから恐怖のリハビリが待っていた。
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