はるかいにしえの頃。
何年前かも分からないぐらい昔5年前、なんとなくシャレで会社を作ったことがある。
俺は盗聴器の発見業務に就いていた。
当時テレビでこんな番組が時々放送されてた。
車で盗聴電波を探し、該当宅に行って、盗聴器を取り払うというドキュメンタリー。
見たことある人も多かれど気分なのだが、俺も似たような事を副業として仕事してた。
当時、なんとなく会社設立に興味を持ち、そしてアンダーグラウンド的な世界にも興味を持ち、
その二つが併せ持たれて、なんやかんやした結果、こーなった。
この仕事始めるまでは、盗聴器の存在なんて映画の世界だけだと思ってた。
けど違ったね。普通に蔓延してるよ。
俺が関わったマンションで、マンション内に1つも盗聴器が無かったマンションは皆無。
大体、10~20戸に1つぐらいは、余裕で有った。
と言うわけで今回は、為になる盗聴器のお話。
まず盗聴器というものの概念について。
盗聴器は、いわゆるひとつの「送信機」。
盗聴器が拾った音声を、電波に乗せて周囲に飛ばすもの。
そして「受信機」を持った人が、その電波を受信し、聞きだす行為が盗聴。
盗聴自体は、ただ流れてくる電波を受信しているだけで、違法ではない。
これを違法とするなら、ラジオなんかも違法に成ってしまうため、違法行為とは呼べない。
そして盗聴器は電子機器なので、動作するためには電気が必要。
必要な電力を確保する方法別に分けると、2種類のタイプがある。
1つは、電池内蔵型。
当然、電池を使い切ると動かなくなる。
が、小型化に優れており、電卓やボールペン程度の大きさのものに入れ込む事も可能。
電池が簡単に切れてしまわないように、色々工夫されている。
例えば、光や音に反応して動き出すタイプ。無音であったり、部屋が暗ければ電源OFF。
あるいは通話を盗聴するために、電話が通話状態のときのみ動き出すタイプ。
こうする事により、家主が確実にいる状態でのみ動作させることが出来、無駄が無い。
もうひとつは外部から電気をもらう(というか盗む)タイプ。
コンセントの裏や、電子機器の中に設置され、電気がいくらでも来るので半永久的に動作する。
このため、当人には覚えが無くても、マンションの元の住人が残していった、
元住んでいた人のストーカーが設置してった、等により今も盗聴されている事も多々ある。
人の出入りが激しい住居、例えばホテルやマンスリーマンションとかが最も危険度が高い。
ダイレクトに、携帯や電話の中に入っている場合もある。
贈り物の中に最初から入っている、というか入れてるケースも多い。
一番危険なのは電化製品。
前記した通り、コンセントに繋ぐので半永久的に有効。
また、しょーもない思い出の品などは、別れた場合捨てられる可能性が高いが、
有効な電化製品ならば、別れても使い続ける可能性が高い。
つまり、それ以後もずっと生活を盗み聞きすることが出来るわけだ。
おおおおお恐ろしい。
何より怖いのは、大抵の盗聴器の有効範囲は、それほど広くないので、
大抵の場合かなり近いところで「聞いている」はずなのだ。
盗聴器を外そうとしている会話もダダ漏れであり、発見して取り外した瞬間、
「ピンポーン」とインターホンが鳴り響いたり。あれはビビった。たぶんチビった。
たぶん、つづく。