俺みたいなカレー臭漂うオッサンにも、まさかそんな時期がありましてね。
あの頃誰もが一度は、世を儚んでみたくなるじゃないですか。
死にたくなるってゆーんですかね。
何かに絶望したり、悟りきった気分になったりするアレです。
かくゆう俺も、12歳ぐらいの頃に、そんな波が来ましてね。
それはまぁ誰しも通る道ですからいいんですけど、その理由というのがもう異常でして。
男ってのは大体その頃、性に目覚めるんですよね。
とりあえず頭の中はエロい事でいっぱいで、残りのわずかな隙間で人間らしい生活にいそしむわけです。
その頃、好きな人がいたんです。
が、もう気がつけば、エロい妄想をしてしまいましてね。
そんな自分が凄く嫌だったんです。
エロい自分を認めりゃ楽なのに、あの頃はまじめな子でしてね。
そんな自分が許せなかったんです。
同時に、世に蔓延する性犯罪も許せなかった。
暴行とか強姦とか。
そんなニュースを見るたび、悔しくて許せなくて、被害者の無念を思ってシクシク泣いてた。
どんなに怖かったろう。悔しかったろうって。
同時に、自分もそんな事をする男という性別であることが、本当に嫌だった。
そんなことする男を心底憎みながら、自分自身の男性も怖かった。
自分の性欲が怖くて、いつか自分も状況さえそろえば、そんなことをしてしまうんじゃないだろうかと、毎日ビビって泣いてた。
もうあかん。こら氏ぬしかない。
そー思いつめました。
まぁ結果として氏ななかったわけですが、そんな理由で氏のうとおもった男は、そうそういないとおもいます。
昔から一風変わった馬鹿でした。
その思いは実は今も根強くて、殺人はあまり思いませんが、性犯罪は心の底から憎いわけでして。
そもそも、なんかおかしくないですか?
昔っから、一貫してずーっと疑問を持ち続けてきたんですが、なんでよく知りもしない女に触れたいの?
あまつさえ抱きたいの?
気持ち悪いだろ明らかに。
そんなんだから、風俗も嫌い。
でもそんな男、俺以外に見たことありません。
男だけの飲み会になると、大抵そんな話が出ます。大抵じゃなくてほぼ100パー出ます。
どこそこの風俗がどーしたとかそういうの。むちゃくちゃ盛り上がります。俺以外は。
こっちに来たら、華麗に流します。左に受け流します。
ちょっとだけ、男であることが嫌になる瞬間です。
ちなみにエロいってのは男だけで、女性は合わせてくれているだけなんだと強く信じてましたが、俺が付き合う女性は揃いも揃って、エロい俺を凌駕するほどエロく、そんな心配は一切無用だということに、20代中ぐらいに気づきました。