俺のおみや

去年の終わりぐらいまで、バイオリン教室に通っていたんです。
今はそこは辞めて、別の先生に習ってるんですが。

そこの教室は、子供が結構多くて、俺の前後のレッスン枠は子供だったんですよ。
前後それぞれ、女の子、男の子でね。
女の子は５歳ぐらい、男の子は７歳ぐらいでした。

こいつら、生まれる前から弾いていたんとちゃうかってなほど、上手でしてね。
まぁ音はアレなんですが、とにかく技術的には凄かったんです。
俺が弾く気も起こらないような、ひげが２本とか付いたおたまじゃくしだらけの黒い譜面を、普通に弾いてましたからね。

かたや俺は、ここで習い始めた時点で既に２年ぐらい経っていたにもかかわらず、きらきら星ですら、よっぽど好意的に聞かないとそれと分かってもらえない、といった耳を覆わんばかりのヘタクソでした。

その音を聞いた、次のレッスン枠なので同じ室内の隅で待っていた、くだんの男の子。

フンって。


フンって、鼻で笑ったんですよ。
それも２回も。


まぁ、それでも相手は子供ですからね。
俺は大人なので、バカにされようが、いくら嘲笑されようが。
ブチ切れたんです。



「笑うなー！チクショー！バスケなら負けねぇぇ！」

って、俺の半分ぐらいしか身長の無い子供に俺は、ものすごく男らしい挑戦状を叩きつけてんですよ。


やっぱ、好きなことでは他人に負けたくないじゃないですか。

んでテトリスの話なんですけど、世界最強を自負しながらも、日々修行に励んでいたんです。
まったく仕事しない日は多々あれど、テトリスしない日はけっこうある、ってなぐらいにハマりこんでて、５段階あるコンピュータの３番目と、良い勝負するぐらいになってたんです。
４番目と５番目は、瞬殺されます。
もうコンピューターは、別の意味で相手にならないから、人間と対戦したいと思っていたんです。

そこで美男美女の、イトコ夫婦登場ですよ。
去年の５月ぐらいに結婚したこの夫婦、当局の予想では、もって半年とふんでたんですが、普通に仲良くしとった。ってか２人とも当時より痩せてた。普通太るだろ。
この夫婦のヨメ側は、幼いころから共に過ごしたわけで、多少はゲーム好きだけど腕は付き合い程度って事も、分かってる。
ただしダンナの方は未知数。
さて、この優しいイケメンいてこましたろかと、相変わらず彼女のプの字も無い俺が、新婚夫婦と対戦ですよ。
人生ではもう取り返しの付かないほど負けてるから、せめてテトリスで勝ってやろうと。ここは泣くところですよ。

もうね、圧倒的大差。ムスカか俺かってなぐらいの大佐。
当然のようにボロ負け。
何回やっても勝てない。
ってかヨメにすら時々負けてる。ばかなー！俺はテトリス最強のはずなのにー！

その時、紳士な俺はこう思ったんです。
チクショー！カラオケなら負けねー！って。

まぁ俺のカラオケゆーても、ただ歌が好きなだけで、ボイトレとか通ったわけじゃないんですよね。先生とケンカして１５分ぐらいで辞めた経験ならありますが。

そこで、この２人をへこましたろとカラオケに行ったんです。
正月から新婚夫婦とカラオケとかって、どんな拷問やねんって話ですけど、とにかく何かひとつでも勝たないとこの後俺は、暗い部屋で眠れる薬をたくさん飲む羽目になると、必死にカラオケへ。

色々と歌いました。
ヨメは普通にうまい。綺麗な声してます。
中学生ぐらいの頃スピード歌っていた時はダメダメだったのに、いつの間にか立派に成長してまして。
彼女の歌う姿を、ちょっと目を細めて感無量な気分で見てしまいましたよ。
ただ、ダンナのほうは、ごく普通。
ってか、あんまり歌を覚えてないって感じ。
これなら勝てると、適当な曲を歌ったら、点数で１点勝ちました。
人生では大きく差をつけられてますが、歌では１点勝った！ついに勝った！俺にもひとつはこのイケメンに勝てるものがあった！なんとか生きていけそうですかあさん。
表には出さないけど、狂喜してました。

そこでようやく本題なんですが、２人がこの後デュエットしましてね。
新婚夫婦でデュエットって。俺の来世で叶えたい夢のひとつじゃないですか。もう殺して欲しかった。
その時歌った曲が、絢香×コブクロのWINDING ROAD。

２人のハモりが、凄い綺麗でしてね。
ダンナひとりでは普通だった歌声が、２人そろうと凄く綺麗なのな。
思ったね、ああこれが夫婦か、と。

これです。



歌詞もいい感じで、２人の歌声とあいまって、感動しました。

歌詞
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さて、樹海はどちらかな？