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2024/11/23 05:33 |
ラブレター その2

前回の続き。


昼休みが終わった。
予想通り彼女は昼休みに外に遊びに行った様子なので、
まず間違いなく下駄箱の手紙に気がついたはずである。

次の作戦行動時間は放課後。
これがメインエベント(口頭による告白)となる。


授業が終わり、掃除の時間となった。
教室の机を運びながら、昨晩一生懸命考えた告白の言葉を、何度も頭の中で練習していた。
緊張するなぁ、うまく言えるかなぁ。ネムがドキドキ。ドキがムネムネ。

するとそこへ、彼女と彼女の友人がやってきて、友人の方が
「なぁ、これ出した?」
と聞いてきた。
その手に持ってるのは、なんと俺が出したラブレターではないか!
ちょっ...なんでオマエが!?
迂闊であった。
俺はてっきり、彼女はそれを一人でこっそり見て、頬を赤らめる(怒)なり吐血するなりして、
こっそりと会いに来て引導を渡す、という流れになるものだと信じていた。
それを堂々と友達にも見せ、さらにクラス中に聞いて回るという漢っぷり。


大体オメーもその質問はなんだ。
ひらひらとラブレター見せられて、
「出した?」と聞かれて「オウよ!」と答えられる奴がいるわけねーべ。
そんな男らしい奴は、そもそも最初から手紙など書かないよ。

事態の予想外の展開に内心焦りながらも、
「出してないよ。何それ?」
とスッとぼける。
二人はそれには答えず俺から離れ、次々とクラス中の男に聞いて回っていた。
さすがに、内容を見せて回っているわけではないようだ。

結局、彼女らの口頭による犯人いぶりだし作戦は失敗した様子。
そりゃそうだ。俺が犯人なんだから。



そして放課後。
ちょっとしたハプニングは有ったが、なんとか被害を拡大することなく
最終場面を迎えることが出来た。
さぁ後は、待ち合わせの場所に行って彼女に告白をするだけだ。
ドキドキ。
小さな胸を躍らせて、指定した待ち合わせ場所に向かう。



待ち合わせ場所は入念な下調べにより、校庭の隅の隅、
放課後に絶対に人が来ない場所を選んである。
遠くから隠れながら様子を探ると、すでに待ち合わせ場所に誰かいる様子。
という事は、彼女はもう既に来ているということだ。
嫌なことはさっさと済ませるタイプか。


しかし、俺が突然極度の乱視になったか、あるいは彼女が実は忍者であったのでなければ、
不思議なことに二人いるような気がする。
うん、間違いない。あの聞いて回っていたヤツと一緒だ。
友達同伴かよっ!!
それ呼び出した意味無いじゃん!!

しかもよくよく周囲をうかがうと、いるわいるわ、クラス中の女子が。
明らかに不自然な様子で自然を装って、遊んだり立ち話をしつつ、
辺りをきょろきょろうかがっている。その数推定20弱。
刑事ドラマの、身代金の受け渡し場所みたいになってるし!
待ち合わせ場所を中心に、クマみたいにぐるぐる徘徊しているヤツも数人。
すげぇ警戒網だ。
キャッツアイの犯行予告を受けたって、ここまで厳重な警戒はしねぇーよ。

警備は厳重を極める。
一番問題なのは、彼女の周りをウロウロしている、あの「出した?」女が厄介だ。
ヤツのクラスにおける勢力から言っても、ヤツに見つかるのが一番マズイ。
そんなことになったら、もう人生オワリ。
小学校辞めるしかない。
俺の指定した待ち合わせ場所は高台になっていて、それを40以上の瞳が監視しているのである。
誰にも気づかれずに彼女に接触することは、まず不可能であろう。

しかしそれは普通の人間ならば、だ。
難攻不落の城砦といえども、小さな穴から崩壊することは有り得る。
かつて無敵といわれたアキレスにさえ、弱点はあったではないか。


市立小学校の007と恐れられたスパイな俺は、不敵に笑い










うん、逃げた。やってられるかボケ。

ありえねー。あの人数はねーだろ。
そりゃ、女子という生き物は、トイレにすら友達同伴で行くらしいって聞いてたけど、
さすがにこの状況でクラス総出はないわー
呼ぶ方も呼ばれる方も、空気読めよー airをreadしちゃってくれよー


つづく?

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2007/02/01 00:07 | Comments(0) | TrackBack() | 恋愛

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