俺のスタンド。
名は、ルート・ミウシナウ。
特殊能力は方向音痴。
このスタンドがひとたびオラオラとかアリアリとか火を噴けばですね、もう絶対に帰還不可能。
無駄無駄無駄ァ!
誠に遺憾ながら、消息を絶ってしまいます。
思えば、俺はこの特殊能力のおかげで、どれだけの時間を無駄にしてきただろうか。
はっきり言って、道に迷っているという時間は、どー頑張ってもプラスに出来ないですからね。
せいぜい、
「迷ったおかげでこんな素敵な景色に出会えた!」
とかって苦し紛れに言いましょうか。
まぁツーリング中なんかに迷った場合は、こんな言い訳も通用しますが、
ビルばっか立ち並ぶ都会のど真ん中で迷ったときなんかは、さすがに無理。
一度ぐらい、こんな展開ないでしょうか。
道に迷う俺。
約束の時間が迫り、焦る俺は曲がり角で人にぶつかり(略)
どこ見てやがんだ!なによそっちこそ!(略)
どうにか間に合い、名刺を出しながら
「遅くなりました」
「あーさっきの!」
(略)
数年後。
「あの時迷ったおかげで、こんな素敵なキミに出会えた」
とか、夜景の見えるレストランで女性を前に、ワインをくゆらせながら幸せかみ締めてみたいもんですよ。
まぁこの話、あんまり迷うの関係ないですな。
まぁとにかく、無駄な時間を多々排出してきたわけですわ。
そんな状況を打破すべく、いつものようにデジタルに頼ります。
そして手に入れたのがハンディーGPSナビ「Mio-P350」
手に持てるサイズのカーナビです。
その実態は、GPS付きのPDA。
これが出たのが2005年の6月なんですけど、ネットで記事を見たとき
「ついに夢の機械が!!」
と、鼻血で空を飛ばんばかりに興奮しましたよ。
俺に無くてはならないアイテム。
ナビさえあれば、これから迷う事もなくなるし、ワインをくゆらす事も出来る!かも!
これで、あの無駄にしまくった時間も浮かばれるってなもんよ。
かなり高価なんですけど、迷う時間を削減できるのならと、ものすごく頑張って買いました。
ま、手に入れてから分かったんですが、色々と予想外な事はありましたよ。
中身がウインドウズなので、簡単にフリーズするのはPCと同じ。
電源が入らなくなる事も、まぁ3日に1回は発生する。
気がつけば中身がめちゃくちゃになってて、クリーンインストールをしなきゃいけなくなる、などなど。
これね、パソコンの世界だからこそ許されてる話ですよ。
車が3日に1回、エンジンかからなくなったら即リコールですよ。
もう、新聞1面を1週間は独占できるね。
前に使っていたザウルス・アイゲッティは旧式で、白黒だしスペックもショボかったけど、
一度だってフリーズなんかしたことなかった。
所詮はウインドウズか。
PDAのウインドウズは、PCのウインドウズとは別物なんですけど、ま、不安定なところは同じですわ。
しかし、そのような状態を使い方によって回避するコツなんかが身についてきましてですね、
さらにネットに、似たような症状に悩み、改善を試みるつわもの達がいっぱいいましてね、
彼らのおかげで、一応はまともに動いています。
車のGPSは、衛星電波だけじゃなくて、車の方向とか速度とか、
色々なものを検知して車の状態を把握しているわけで。
だからこそ、電波の届かないトンネル内でも、車の正確な位置を算出できるわけですが、
ハンディーGPSの場合は、電波しか頼るものが無い。
だから空を遮るものが頭上にあるともうダメ。
地下、高速の下、屋内、ビルの側などなど。
ダメな点ばっかあげましたけど、それ以外は、
ある程度の誤差はあれど、地図上にバッチリ自分の位置が表示されるですよ奥さん。
目的地までのナビも、常に最短距離を選ぶという、ちょっと頭の悪い構造ながら、目安には十分成る。
喋ってもくれる。
初めて行った場所でも、迷わず目的地にすんなり着ける。
29年間生きてきて、今まで一度だってこんなこと無かったです。
もうこれがないとダメ。貴方がいないと私ダメなの。
大阪駅からロフトに行くのに2時間とか、かけなくて済むようになりましたよ。
また、常人に一歩近づいた気分になったりならなかったり。