改めて本気出して言わせてもらうが、俺はモテない。
俺の脳内googleで、俺の人生から「モテた|モテる」と検索しても
「該当なし 検索にかかった時間0.0001秒」
という結果が即行返ってくるほどにモテない。
ホント、フラれる度に10円ずつもらっていたら、今頃億万長者とは言わないまでも、
540円ぐらいは貯まってるだろう。
大抵は、告白することなくフラれることが多かった。
今でもそうだが、俺は態度が行動に現れやすいので、
察知した相手が、告ってもいないのに「興味無い」とかわざわざ伝えてくれたり、
何人かの女に取り囲まれて、宗教裁判のように無理やり好きな女を自白させられ、
該当者が泣き出すなどという、ゆかいな経験も多数お持ちだ。
1度だけ、告白の為に手紙を書いたことがある。
いわゆるラブレターという奴である。
俺が小学2年生だった頃の話。
詳細は忘れたが、とにかく俺はクラスメートを好きになった。
そこから思いを伝えたいと思うまでのプロセスは、わざわざ説明することも無いであろう。
俺だって、たまには人間みたいな行動もするのである。
この頃の女の子は大抵そーだが、彼女も常に誰かとつるんでいるので、
誰にも知られず、面と向かって伝えるのはかなり難しい。
そこで俺は、ラブレターを書いた。
内容は好きだという事、そしてある場所への呼び出しである。
指定時間は今日の放課後。
呼び出したところで会って、本格的に告るつもりだったのだ。
なので、名前は書いてない。
俺は今も昔も、頭と性格の悪さがモロに出た字の汚さなのだが、
この時は一生懸命綺麗な字を心がけ、手紙を書き上げた。
そして、次はこれを彼女の下駄箱に入れる。
ここからのミッションは非常に重要である。
もし万が一、ラブレターを入れるところを誰かに見られたりしたら、
報告、閲覧、自白などのプロセスを経て、取り返しのつかないような事態となる事は間違いない。
小学生というのは、ヘタなホラー映画の怪物キャラよりも、残虐非道なことを平気でやる生き物なのだ。
というわけで、絶対に失敗は許されない。
俺はここから伝説の特殊工作員タカッド・スネークとなり、最大限の注意を払い行動した。
目標ポイントに到達する前に周囲の様子をうかがい、到達した後は素早く手紙を下駄箱に設置した。
外から最も見えにくい状態にすることはもちろんである。
時刻は昼前。
これで彼女は、昼休みに外に遊びに行く時に、手紙の存在に気がついてくれるであろう。
もちろん彼女が100%の確率で、昼休みに外に出ることは友軍CIAの調査により立証済み。
まずは任務を順調に進めた。
しかしここから、伝説の工作員タカッドスネークにも予想も出来なかった事態となる。
つづき。