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2024/11/23 09:05 |
俺を通り過ぎていったPCたち
俺が一番最初にパソコンを手にしたのは、6歳の時。

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その名はMSX。
当時としてはものすごく画期的な、個人向けコンピュータ。
パソコンなので、高価なものではあった。
おかんの知り合いが、正月中遊んだら飽きたという理由で、うちに来ることになった。

パソコンながら、当時絶頂期だったファミコンのように、カセットをさしてゲームも出来る。
パソコンだったが、6歳の俺にパソコンらしい使い方など出来るはずもなく、ゲームしかしてなかった。
が、MSXのゲームはほとんどが外国で作られたもので、難易度が異常に高かったり、バグだらけだったりと、子供が楽しむのはちょっと無理があるような、そんなソフトが多かった。

友達はみんなファミコンを持っていた。
もうファミコンを持っている、いないという話ではなく、既にソフトが何本あるか、というステージにみながいるというのに、俺はいまだにファミコンを買ってもらえなかった。
何度説明しても、おかんには、ファミコンのゲームとパソコンのゲームの違いを理解しようとせず、
「パソコンあるからファミコンいらんやろ」
という毎回同じ、判で押したような答えで俺を一蹴した。

「たからはファミコン目当てで遊びに来ている」
という噂が千里を走り、なんとなくクラスから浮いてしまった俺。
そんなつもりはないんだけど、ファミコンを持たない敗者に弁解の余地は無い。
なんとなく友達と遊ぶこともしにくくなり、俺は引きこもるようになった。

俺の性格が異常に内向的なのは、すべてファミコンを買ってもらえなかったせいである。

6歳にして早くも引きこもりという、時代を先取りしすぎた感のある俺は、毎日ヒマだった。
ヒマなので、パソコンの説明書なんかを読んでみた。
最初はサッパリ意味が分からなかったが、絵で察するに、どうやら音楽が聴けるプログラムの説明らしい。
ベートーベンっぽい人が、ピアノを弾いている絵が描かれている。
その下にプログラムが書かれていた。
見よう見まねで、そのプログラムをキーボードから打ってみる。
たった数十文字のそのプログラムを写すのに、何時間もかかったが、ヒマなので全然平気。

何度も打ち間違い、エラーを出しまくったものの、ついに完成させることが出来た。
早速、実行してみると、テレビから「エリーゼのために」がチープな音で流れ出した。
この時の驚きと感動!

プログラムの意味はサッパリ分からなかったが、俺は次々と、説明書に書かれているサンプルプログラムを打ち込みまくった。
ある時は画面に図形が、ある時は花火のように円形が色々な色で塗られ、またある時は簡単なゲームが出来たりした。
俺はすっかり、自分で何かを作り上げる喜びにハマり、プログラムにハマった。
やがて、説明書に書かれたプログラムはすべて制覇してしまった。
おかんに頼み、本屋でプログラム集のような本を買ってもらい、更に高度なプログラムに熱中した。
その頃から、プログラムの法則性のようなものを徐々に感じ取り、自分で簡単なアレンジをしたりできるようになった。
あの頃の俺は、今の一億倍ぐらいは賢かったと思う。

MSXをくれた人が途中で挫折した、スロットマシンゲームのプログラムの修正に取り掛かった。
BASICで1万行もある、かなり巨大なプログラムである。
動かすことは出来るのだが、まともにキー入力を受け付けない、つまりはバグったプログラムだった。
だが俺は、その膨大なプログラムの中から、間違ったところを見つけ出し、徐々に改善していった。
この歳で既に、デバック(プログラムの動かない部分を見つけ出し、改善すること)まで経験していた。
そして何ヶ月もの時間をかけ、ついにスロットマシンゲームを完成させた。
掛け金を入力し、絵が揃うと倍率に応じた掛け金が戻る、シンプルなゲームだ。

1万行の、プログラムコードを眺めているだけで涙が出た。
もう俺は一生、プログラムを書いて生きようと決めた。

次の日、ファミコンをもらった。
スーパーマリオにハマった。
プログラムなぞ、見向きもしなくなった。

2007/09/14 21:13 | Comments(0) | TrackBack() | デジタル関係

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