これは俺の持論なんですけど、アトピー持ちの人は、ヤバい薬に手を出す率が、相当低いんじゃないかと睨んでいます。
煙草、酒、薬、など数ある依存症の中でも、薬物依存症の話は、群を抜いてヤバいですよね。
そんな薬物依存症から立ち直った人の話って、わりとよく聞くじゃないですか。
私ら一般人が見聞きする範囲の話では、大抵ドラマチックに飾り立てられた話ですよね。
ひょんなことから薬に手を出してしまい、止めたいのに止められないままでいたのに、何かこう泣かせるような展開(家族に命がけの説得をされたとか)があって、やがて「そこには依存症を克服した彼の姿が!」みたいな結びで終わる、ってな感じの。
あれがね。良くないと思うんですよ。
私ら一般人は、依存症を経験していないから、依存症がどれだけ恐ろしいかなんて知識は、こういった話からしか得ていない人も、わりといると思うんです。
あんなのを見ていたら「禁断症状やら依存症やら大げさに言うけど、頑張れば克服できるみたいだし、実は意外と大したことなくね?」とか、誤解しかねないと思うんですよ。
さらに「止めるのは簡単そうだし、試しに一度やってみようかな」とか思う輩も、いるんじゃないかなと危惧するわけですよ。
『薬物依存に陥っても、わりとなんとかなる』
俺はね、これはとんでもない誤解だと思うんです。
もちろん俺も、薬物依存症になったことはないので、本当のところの恐ろしさは分かってません。ですが、それでも「止めたいのに止められない」「意志の力では無理」という心情は、一般人の1億倍は理解しているはずです。我々アトピー持ち達は。
痒い。
痒いけど、掻いたら酷くなる。
一度掻いてしまうと、もう血が出るまで止まらない。
それでもやっぱり掻いてしまう。そして流血。
体のほんの一部分の痒みを我慢する為に、全ての理性を総動員させなきゃならない日々。
それでも我慢しきれずに、やっぱり掻いてしまう。
せっかく治りかけていた傷が、また開いてしまう。
体が出す要求に対して、人間の意志とはいかに弱いものかを、長年にわたる痛みと流血の果てに、骨の髄まで理解してると思うんですアトピー持ちは。
だから薬に手を出さない。
依存症になったら、意志の力なんかでは絶対に止められない事が、分かっているから。
薬物依存の恐ろしさを、経験者の次に理解しているのは、我々アトピニストなのではないかと。