これは俺の持論なんですが、普段と違う環境に体が慣れてくるのって、大体3日目ぐらいからなんじゃないかと思うんです。
登山でも、ちょうど3日目ぐらいから山に体が慣れてきて、余裕をもって楽しめるようになるんですよね。
外国でも、過ごす時間が3日目くらいになると、わりと生活にも慣れてきます。
日本とは違う食事の事とか、英語を聞いたり話したりする事や、お金の感覚にも、なんとなく慣れてくる。
最近、仕事で海外に行く事が増えてきまして。
俺が、英検3級1次試験不合格、TOEIC400点台という、どこに出しても恥ずかしい功績を前面に押し出しての「英語出来ますよ」アピールの結果、技術屋の海外担当に、まんまと含めていただけまして。
台湾とかマレーシアとかマレーシアに、ちょこちょこ行ってます。
登山でも、ちょうど3日目ぐらいから山に体が慣れてきて、余裕をもって楽しめるようになるんですよね。
外国でも、過ごす時間が3日目くらいになると、わりと生活にも慣れてきます。
日本とは違う食事の事とか、英語を聞いたり話したりする事や、お金の感覚にも、なんとなく慣れてくる。
最近、仕事で海外に行く事が増えてきまして。
俺が、英検3級1次試験不合格、TOEIC400点台という、どこに出しても恥ずかしい功績を前面に押し出しての「英語出来ますよ」アピールの結果、技術屋の海外担当に、まんまと含めていただけまして。
台湾とかマレーシアとかマレーシアに、ちょこちょこ行ってます。
で、先日もマレーシアはクアラルンプールに行きましてね。
3日ほど仕事で過ごして、日本に帰る深夜便に乗り込みました。
飛行機に乗り込み、自分の席に近づくと、若い男性が既に、俺の席に座っているのが見えました。隣の彼女らしき女性と、楽しく会話しています。
恋人と海外か。いいなぁ。
「仕事で疲れたオッサンの帰国」である俺と比較して、放つキーワードが違いすぎて泣きそう。
「若い 彼女と二人 海外旅行」
こんなん、俺が検索エンジンだったら、嫉妬のあまりウイルス的な何かで、そいつのスマホ燃やすわ。
あぁ疲れてるのに。面倒な事にならんといいなぁと思いながら、
「Excuse me. I'm afraid you have a wrong seat.」(きみの席、違くない?)
と、自分の搭乗券を見せながら話しかける。
きょとんとする二人。
直後に、合点いったという顔で、二人が通路に出て、奥の席への道を空けてくれる。
あ、奥が俺の席だと勘違いしてるわ。
「No no. That's not my seat. This is my seat.」
と、1ヶ月のウェールズ留学経験を惜しみなく注ぎ込んだ中学生英語を駆使し、俺の席である通路側の席を指差しながら、伝える。
それでようやく理解してくれた二人は、
「Sorry~」
とか言いながら、奥とその隣にそれぞれ座って、俺の席を空けてくれた。
面倒な事にならんで良かった。あと彼女可愛い。リア充爆散しろとか思いながら、ようやく席に座る。
その次の瞬間、隣の二人が
「映画何観る?」
とか、日本語で話しているのを聴いた瞬間の、俺の衝撃よ。
日本人だった!
いやまぁ普通に考えたら、日本行きの飛行機なんだから、ほとんどが日本人なんだけども。
そんな可能性は、1ミリも考えませんでした。
海外に3日居た為に、口が自動的に英語を使ってくれちゃってたわ。
衝撃のあまり、二人の方を見たまま数秒間固まってたら、隣の彼氏と目が合っちゃって、しかも話しかけてきてくだされやがりましてね。
「Where are you from?」
って。
確実に外国人だと思われてる。
いやいやいや。このシチュエーションで話しかけられるとか、ある?
これまで何十回も海外行ってるけど、飛行機で話しかけられたのなんて1度しかないよ。
感覚的に、確率は0.2%ぐらい。こんな悪徳ガチャのレアキャラみたいな確率、このタイミングで引いちゃう?
いやしかし、今ならまだ間に合う。
「いやすんません、実は日本人なんですよーカッコワライ」
的な会話で、軌道修正は可能だ。
でも俺の口が出した答えは、
「Koria」
終わった。いや、始まったというべきか。
韓国の事なんて全然知らないのに、韓国人を自称してしまった。
秒でばれる嘘。
さぁ、この会話がどこへ行き、どうなってしまうのか。
背中に嫌な汗をかきながら、日本人同士による国際交流がスタートした。
彼の英語力は高くなかったが、間に日本語をふんだんに混ぜて質問してくる為に、日本人である俺にはわかるんだけど、英語としては伝わらないはずの表現などは、分からないふりをしなければならないという、無駄に集中力を要する会話となった。
基本的に、相手に話をさせるスタンスでいたものの、たまに、俺の国のはずの韓国について尋ねられたときは、質問を質問で返したり、強引に話をそらして、危うく致命傷で済ませた。
特にthat's long storyとかlittle complicatedとかを多用し、「その話はすんな」的アトモスフィアをかもし出す事に専念したが、普通におもくそ失敗してた。
「韓国では、普段どんな物を食べてるの?」という彼の質問に対して
「長い話になる」
ってなんやねん。我ながら酷い。
そのうち、食事が来たり、彼が彼女と話し始めたりで、俺たちの会話はなんとなく終わった。
ひとまず切り抜けた。
悪いけど、もう話しかけてきて欲しくないので、映画に専念している風を装う事に。
しかし、切り抜けたものの、アイアムコリアンを貫くために、いくつかの弊害が。
行きの飛行機で途中まで観てて、続きを楽しみにしてた「銀魂2」も、日本人とバレそうで観られんし。仕方なく、みんな絶賛してるボヘミアン・ラプソディー観たけど、日本語字幕無いから1ミリも理解できんくて、開始5分で寝た。
2度目の食事が配られたところで目が覚める。
その後スッチーが、日本人にのみ必要な税関申告書を配ってたので、当然のように貰う。
うん、受け取った瞬間
「あ」
って思ったよ。小林製薬並みに。
多分、隣の彼も同じように思ったんだろうね。
税関申告書を持つ、俺の手元をじっと凝視しているのが、視界の隅から伝わってきたから。
この場面で俺にできる事は、即刻気絶。もうこれしかなかった。
今度からは、まず日本語で話しかけよう。
薄れ行く意識の中で、俺はそう決意しました。