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2024/11/23 04:50 |
最後の調理場バイト
大学一回生 18歳の頃やってたバイト。

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大学に入って一番最初にしたバイトで、バイト先は中華料理店の調理場である。

バイト初日、自費で買わされた白長靴を持って、俺はバイト先へと向かった。
そこで俺は人生について多々考えさせられる場面に、何度も出くわすことになる..

裏口から調理場へ入るドアを開けると、
「むわわわわわわぁぁぁ~~」
と、鼻がひん曲がりそうな悪臭がドアから吹き抜け、その風圧で体が押し戻されそうなぐらいであった。
その風圧に任せて家に帰っていれば、あんな経験をせずともよかったのに..

しばらくすると嗅覚疲労により悪臭を悪臭と感じなくなり、なんとか中に入って呼吸ができるようになった。
白い割烹着みたいなものを着せられて、いよいよ仕事は始まった。
といっても、最初はひたすら皿洗いである。
流しに溜まっている水は、底が見えないほど汚く、床にも残飯などの生ゴミが散乱し、洗剤などほとんど使わず機械任せの洗い方である。
あれこれと指示されて、溝にたまった生ゴミを集めてゴミ捨て場に持っていったり、底が見えない流しを勘で掃除したり、拭いたら逆に汚くなりそうなぞうきんで、いろいろなものを拭いたり..
そんな事をしているうちに、だんだん俺の中で「きたない」とか「きれい」とか言う感覚が薄れて、何もかもに無感動にさえなりそうであった。

休憩を言い渡され、俺は休憩室とやらに向かった。
そこは4畳半ぐらいの小さなヒト部屋で、すでに4,5人の男がだるそうに休憩していた。
みな虚空に視線を泳がせたり、一点を見つめたまま固定していたり、まともな人は見当たらない。
俺はここでのなれの果てを感じた。
が、無感動無気力になっているため、俺もみなと同じように部屋の隅でひざを抱えて、休憩時間が終わるのを待った。

しばらくして休憩時間が終わったが、誰一人として動こうとする人はいない。
おいおい、おまえらいつまで休憩してるねん。
俺はちょっと迷ったけど、とりあえず真面目に休憩を切り上げ、悪の巣窟へと舞い戻った。

再び皿洗いである。
それ以外にも一応調理補助みたいなことをするんだけど、改造してアホみたい電力が上げられている電子レンジを使っての作業(凍ってる食品を数秒で解凍してしまう。使ってる間は調理場の電気がちょっと暗くなる)や、相撲取り100人分ぐらいの超巨大な炊飯器でご飯を炊く等、調理と呼ぶにはちょっと苦しい事ばかりであった。
当然作業中に服や髪が汚れるが、汚れるのが嫌とか醜いとか、そういう感覚もほとんどなくなって、無感動無意識に機械的に業務をこなしていた。 

職場の人間関係も最悪で、歳の頃15,6ぐらいの社員がいたんだけど、やたらめったら偉そうで、本気で世界は俺を中心に動いている、とか考えていそうなタイプ。
いやいや、どんなけ世界狭いねんって話ですけど、とにかくちょっと変な勘違い野郎であった。

普段は羊のように温厚だった俺も、生まれて初めて軽く殺意というものを覚え、ああ、こうやって殺人は起こるんだなぁ..となんとなく理解した。

このバイトを一ヶ月と続けられなかったおかげで、俺は人を捨てることなく生きています。

すごかったよ。餃子の王将は。

2007/04/19 12:23 | Comments(0) | TrackBack() | 仕事

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