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2024/11/23 09:43 |
恐怖!熊も殺せる料理人登場!
高校一年生 16歳の頃やってたバイト。

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この頃、俺は金が無かった。
ただもうひたすらにビンボだった。
高校生になって、結構お金を使って遊ぶ機会が増えたので、支出が激しかったのだ。
しかし収入は、時々おかんを騙して脅してスカして、チョロまかしてくる小銭程度。
収入は変わらず、支出がドカンと増大したのだ。

これではいかん。
金が無くなれば女の子にも相手にされない。
そう、モテないのは金がないからだ。金さえあれば俺だってもしかするともしかしないかもうんしないかもね。
とりあえず金が無いならバイトしかあるまい。

中学の時からの友人で、同じようにピーピーしている『ユースケ』をそそのかして、近くにある地中海料理を出すレストランの、アルバイト面接に二人で出向いた。
その時の俺のいでたちは凄かった。
夏だったので、ビーチサンダルを履いていたし、蛍光のオレンジのシャツをまとい、全体的に南国系である。
はっきり言って、これは面接をなめているとしか考えられない風貌だった。
大人に苦々しく思われている、最近の若いもの代表の、頭悪そうな実際悪い格好だった。

とりあえずそんなんでも面接をクリアし、俺達は調理場で働くことになった。
といっても、俺達二人が顔を合わせるようなシフトはほとんど組まれず、忙しいばかりで時給もマクドナルド並。
俺達は不平不満を毎日並べながら、このバイトを続けていた。

しかしならば、何故辞めなかったのか?
理由は一言に尽きる。
店長が恐いから。

店長は2メートルもありそうな大男で、しかも声もでかく、喧嘩っ早い。
初期のスティーブン・セガールの体に、彼の顔と凶暴なクマの顔を2:8の割合で融合させた顔を思い浮かべてもらうと大体正解。ほぼクマ。
店長は、噂によると柔道・空手などにも精通しているらしく、俺達は影で『熊殺し』と呼んでいた。
あの店長の前で辞めるなんて言ったら、五体満足にこの店を出られるとは到底思えなかったのだ。
しかも給料が振り込み式なら、ある日突然失踪作戦も使えるのだが、現金手渡しなので、辞めてから改めて給料もらいにノコノコ出向く場面を想像するだけで、20回ぐらいは死ぬる。

しかしとうとう俺達も辞めるときが来た。
って言うか、要領のいいユースケが、気がつけば辞めていたのだ。
二人で同時に入った場合、片方に辞められると、俺もおいそれと後に続くことは、雰囲気的にしにくくなる。
あの野郎、自分だけ何も言わずにバックれやがってぇぇ!
と、皿を洗いながらユースケに怒りを燃やしていた。
独りぼっちのバイトをその後も一週間ほど続けたが、やはりどうしても辞めたくなった。
条件的にずっといいバイトの話が他にも多々あり、人間関係もどんどん悪くなっていくこの職場から、とっとと逃げ出したかったのだ。
やむを得ん。
先人にならい、ユースケが使った『熊殺しが居ない時に電話でブッチ作戦』を真似することにした。

この作戦を使用し、主任に辞めますと伝える。
主任は熊殺しとは全然違って、温厚な紳士なのでいたって普通に受理してもらえた。

とりあえず俺も辞めることができ、解放されたかに見えた。
しかしまだ、続きがあったのである。

当初から懸念されていた問題だが、残りの給料を取りに行かなければいけない。
ハッキリ言ってこれは辛い。ほんと死ぬるよ。
1人で行っては確実に明日の太陽は見られなくなると判断し、ユースケは嫌がったが、強引に二人で一緒に行くことにした。
店の裏口である業務員用のドアを開けると、腕を組んで椅子に座ってる、メチャクチャコワイ顔をした熊殺しと、社員がもう一人、薄暗いライトの下で、お出迎えをして下さった。
熊殺しに話しかける気にはとてもなれなかったので、その社員に、給料を取りに来た旨を伝えた。もちろんユースケが。俺は恐怖のあまり一歩も動けず一言も発する事ができず、立ちすくんでた。
「蛇に睨まれた時だって、あそこまで酷くはなかったッスよ」とはカエルの談。

社員が給料を取りに行ってる間、俺たちと熊殺しはひとつ部屋の下。
超重圧なムード。この部屋だけ重力が8Gぐらいになってた。ドラクエで薬草も買えるわ。
この間、殺しは一言も話さず、その体勢のまま俺達をにらみつけていた。
超生きた心地がしない時間である。
1分ほどの時間が4世紀分ぐらいに感じられた。
俺達は給料を受け取ると、挨拶もそこそこに店を飛び出し、車で爆走して逃げた。

結局、ここで俺が働いた期間は1ヶ月強。
面接では二年は働くと言った記憶が。

でも、料理の基本はここで覚えたような気がする。

2007/04/18 12:21 | Comments(0) | TrackBack() | 仕事

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