スキューバ・ダイビングでよく言われる「ライセンス」というもんは、実はライセンスではない。
そもそも、海に入るのに資格など不要。
ただ、現状ではそれが無いと、タンクを貸してもらえないというのが世の慣わしであり、結果的にダイビングをすることができなくなる。まぁ自分でタンクを買って、チャンバー(空気入れる施設)を建設すればいくらでも潜れますが。3000万ぐらいするらしいけど。
通称Cカードとよばれるその「認定書」には、ランクがある。
このカードを発行している団体が世の中にはたくさんあって、団体によってもランクの数や、名前は違ってくる。
PADIではこんな感じ。
オープン・ウオーター → アドバンスド・オープン・ウオーター → レスキューダイバー → 忘れた。
決まった時間の講義を受けて講習を受ければ、よっぽどの事が無い限り誰でもランクは上げられる。
上級ランクになって、何かいいことがあるかといわれると、多分ほとんど無い。
よーするに、いくらお金をつっこんで来たかという指針にもなったりする。
上級ランクでありながらも経験が浅いダイバーが、ものすご足ひっぱるなんてのは良く聞く話。
ダイビングのスキルは、ランクじゃなくてもぐった数である、というのがダイビング界での認識。
俺も最初の頃、講習を受けまくって上級を目指していた頃があった。
今では、なんだか上級クラスを目指す事がアホらしくなって止めたんだけど、プロの最初のレベルであるガイドクラスになるための、スキルを身につけようと努力した事があった。
5年前。2003年頃のお話。
泳ぎのスキルを身につける。
とりあえず俺に課せられた使命は
『400m自由形を12分で泳げアホ』というものである。
400mを12分。
つまりは25mを平均45秒で泳ぎ続けるというものである。
現在の俺のタイムは、25mで30秒をやっと切るぐらい。
まず時間は余裕でクリアしているわけだ。
しかし距離の方は
・25m なんとかなる
・50m 不可能すぎてやったことすらない
といった様子で、たった25mでも監視員がプールに飛び込む一歩手前まで死にかける。
つまりは400mのタイムが云々言う前に、泳ぎ切ることが大前提となるわけだ。
というわけで、まずは俺の泳ぎについて、一体何が駄目なのかを考えてみる。
しかし一ヶ月前まではキャリア24年のカナヅチだった俺の泳ぎの、
「何が駄目」と言われても「全部駄目」と言うほか無いわけで。
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■問題提起
では改めて、何故長く泳げないのかを考えてみる。
『苦しいから』である。
では何故苦しいのかを考えてみる。
『呼吸が出来ないから』である。
しかしまてまて、クロールで泳いでいて、1サイクルに一回は息継ぎをしているのだから、理論上十分な呼吸が出来ているはずである。
なのに苦しいとはどういうことか。
■検討・考察
ひらめいた。
呼吸をしすぎなのではないだろうか?
地上でも、やたらと呼吸を早くすると疲れるし苦しい。
それと同じで、大して疲れてもいないのに、ガンガン荒い呼吸をしまくることによって、かえって苦しくなっているのではないだろうか?
もしもこの説が正しければ、水面に顔を上げて行なう息継ぎの回数を、逆に減らすようにすれば、もっと長く楽に泳げると言うことになる。
■実験開始
実験内容
今まで1サイクルに一回息継ぎしていたのを、2サイクルで一回にしてみる。
■実験結果
苦しい
■解説とさらなる問題提起
息を吸うときは顔を上げるわけだが、その時に吸える空気の量ってのは十分とは言えない。
それを顔を水に戻した後、はき続ける事になるのだが、1サイクルあたりで息を吐ききってしまうのである。
そして必死に我慢してなんとか2サイクルまでこぎ着け、必死に息を吸う。
「ンガガァ!」なんて不愉快な呼吸音をたてながら必死に吸う。
必死に吸った空気はそのまま必死に吐いてしまい、またまた苦しくなる。
こーして呼吸は荒くなり、ますます苦しいという、素敵な悪循環の到来となる。
最初はいい感じのような気もしたが、一度狂うと狂いっぱなしである。
■反省・問題提起
やはり駄目なのか。
この説は間違っていたのだろうか?
うーむ
■検討・考察
またひらめいた。
2サイクルにしたことによって、空気が足りなくなるのなら、もっとたくさん吸えばいいわけである。
つまりはゆっくり吸ってゆっくり吐くのではなく、一気に吸ってゆっくり吐く。これだ!
■実験開始
息継ぎは一気に吸う、そしてゆっくり吐く。
■実験結果
苦しい
■解説
顔を上げた瞬間に素早く息を吸い、水中でゆっくりと吐く。
こーすると2サイクルでも余裕で空気が保つのである。
実験は成功かと思われたが、徐々に変な苦しさがつのってきた。
この苦しさは経験がある。
ダイビングの時に、浅い呼吸を繰り返していると、最初に吸った空気が肺の中に残ったままになり、それで苦しくなってしまう感覚と同じである。
つまり息をたくさん吸うのは良いが、体に最初にすった古い空気が残ったままになっている。
吐き切れていないと言うわけだ。
しかし息をゆっくり吐いていくと、最後の方はまだ体に空気が残っていても苦しくなってしまう。
結局苦しいのである。
■懲りずに検討・考察
しかしまてよ。
俺は毎回25mで泳ぐのを止めてるから苦しいのではないだろーか?
25mを越えれば走るのと同じで、惰性でなんとかなるんじゃないだろーか?
■実験開始
というわけで、一気に400m泳ぐ気持ちで続けて泳いでみる。
■実験結果
苦しい。っていうか命の危険レベル。
50mでダウン。
■反省と今後の課題
しかしなんとか50mは泳ぎ切ることが出来た。
この調子で毎回25mずつ増やしていけば、
10数回やれば400m泳ぎ切ることが出来る!(理論上)
この徐々にステップアップ計画にて、ちょっとしばらく頑張ってみることにする。
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この後の流れ。
ガイドになるための熱は冷め、結局たいして泳げないまま現在に至る。
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コメント
遠泳は、もっと省エネで泳げないとだめなんですよね。
でも、速くなる方法を教えてくれるインストラクターは多いんですけど、長くゆっくりってのは、なかなか誰も教えてくれなくて。
ダイブマスターもたしか、維持費かかりますよね。なんやかんやで10万ぐらいかかりますし。それだったら海外に潜りに行ったほうが~とか思って、俺は取るの止めました。まぁ前記の、泳げない問題もありますが^^;
バイクもそーですね。
大きいほうが高速とかは楽ですけど、400でも十分すぎるぐらいパワーはありました。今でも、体が小さければ、250が一番理想的と思ってます。
私もダイブマスターを目指していますが水泳400mが壁なんです。50m位まではいけるのですがその後が続かず悩んでプロ入りを躊躇してます。
PADIの戦略は資格(ライセンス)商法で取っても国家資格じゃないので自己満足に過ぎないことはわかっているのにな。
今、生活していける収入があるのでダイブマスターは仕事というより見栄で取ろうと思っているだけなんですが・・・。何でものめり込む質でしてバイクも日本の道路では中型400cc位で十分だと思いながらとりました。持っている人がいると何となく取りたくなるのです。私と性格がよく似ているようで親しみを感じます。