はい。ニーソを履いて吐いたところまでお伝えしました。
同室となったほかの二人は、ものすごく静かな老人2人でした。
後々この二人が間接的に、様々な問題を俺に投げかけるのですが、この時はまだ分からず。
同室となったほかの二人は、ものすごく静かな老人2人でした。
後々この二人が間接的に、様々な問題を俺に投げかけるのですが、この時はまだ分からず。
そして翌日。
手術後のリハビリが始まりました。
まだ腫れまくってるし痛みもあるのに、もうリハビリ。
手術後のリハビリが始まりました。
まだ腫れまくってるし痛みもあるのに、もうリハビリ。
でもこの時点で俺は、リハビリを完全にナメてました。
よく、オリンピック選手なんかが怪我をして、苦しいリハビリを乗り越えて~みたいな話を聞くたびに、
「いやいや、しょせんやってることは軽い筋トレでしょ(笑)」
とか思ってました。
よく、オリンピック選手なんかが怪我をして、苦しいリハビリを乗り越えて~みたいな話を聞くたびに、
「いやいや、しょせんやってることは軽い筋トレでしょ(笑)」
とか思ってました。
なので、わりと楽観視してました。
そもそも今の時点で、自分の意志で膝なんか曲げられないし、ちょっと曲げるだけで激痛もんだし。ちなみにこの、術後の膝を動かそうとするときに感じる痛みは、寝違えた首を無理に回すのに似た痛みです。動かせるわけがない。
そもそも今の時点で、自分の意志で膝なんか曲げられないし、ちょっと曲げるだけで激痛もんだし。ちなみにこの、術後の膝を動かそうとするときに感じる痛みは、寝違えた首を無理に回すのに似た痛みです。動かせるわけがない。
看護師さんが、一抱えもあるでっかい機械を持ってきたかと思うと、俺の右足をテキパキと拘束しましてね。これ、映画の拷問シーンで見たことある奴や。
スイッチを入れると、強制的に膝の曲げ伸ばしを行うという、セルフ拷問機です。
曲げ伸ばしする角度や速度などは設定できるのでずか、最初は20°からスタート。
そもそも動くわけない言うてるのに、20°の曲げ伸ばし。
強烈に痛いです。痛みに耐えて、プルプルして涙目になるぐらい、痛いです。
最終的には90°を目指すとかいう、若者特有の陳腐な夢物語を聞かされたような気がしますが、リハビリまじでハンパないわ。リハビリ乗り越えた人たちを、無条件に尊敬するわ。
スイッチを入れると、強制的に膝の曲げ伸ばしを行うという、セルフ拷問機です。
曲げ伸ばしする角度や速度などは設定できるのでずか、最初は20°からスタート。
そもそも動くわけない言うてるのに、20°の曲げ伸ばし。
強烈に痛いです。痛みに耐えて、プルプルして涙目になるぐらい、痛いです。
最終的には90°を目指すとかいう、若者特有の陳腐な夢物語を聞かされたような気がしますが、リハビリまじでハンパないわ。リハビリ乗り越えた人たちを、無条件に尊敬するわ。
しかしこのリハビリは、ほんの初歩の初歩であり今後、理学療法士による、さらなる悪魔の所業が待っていることを、俺はまだ知らぬ存ぜぬ。
術後の、控えめに言っても地獄であった時間を、るろうに剣心と嫁のおかげでなんとか潜り抜け、一般の病室に戻される。
これから超、長時間滞在する事になるであろう大部屋は4人部屋で、1人は空いてたので3人が同室で過ごす事になる。
前回の入院時にも2人の同室者がいたんだけど、かなり特徴的な2人であった。
1人は老人。
常に大イビキで寝てて、それはそれでうるさくて困るんだけど、たまにそのイビキ止まって、今度は逆に心配になってくる方が1人。
もう1人は男子高校生。
こいつが戦後最大クラスの大問題児で、しょっちゅう仲間が見舞いに来て病室でワイワイやりやがるんですよね。
いや、俺はね、あくまでも「見舞いは談話室で」というルールを破り、病室で騒ぐ彼らが良くないと言っているだけです。決して全然そんなに、妬ましいとか羨ましいとかでは断じて無く、妬ましいとか羨ましい。その間俺はカーテン締め切って、ひとりぼっちでDSでテトリスしてましたからね。なにこの格差社会。
しかもその仲間の中には、女子も何人かいやがりましてね。ふざけんな病院送りにするぞボケ。
というわけで部屋に落ち着きまして。
まず、今の右膝の状態はといいますと、膝はアイスノン的なもので冷やしつつ、それごと包帯でぐるぐる巻きにされています。包帯のあちこちから、黒くて硬い糸が、所々はみだして見えています。もちろん、じんわりと痛いです。
膝はほとんど動かせませんが、伸ばしてさえ居ればそれほど痛くないので、ベットから降りる時は、左足を右足の下に差込み、持ち上げて、右膝は伸ばしたままの状態をキープしつつ、ゆっくり地面に下ろす、という方法で動く事ができます。
移動は松葉杖です。これで通算3回目の松葉杖生活。もはやベテランの域。
そしてここからは、公序良俗に反する文章になるのですが。
特筆すべきは、ニーソです。ニーハイソックス。
心配してください。履いてます。
術後の血行を促すためだとかなんとかいう理由で、白いニーソをはかされてます。
俺の知ってる「ニーソをはいている足」ってのは、こんなだと思うんですが。
足とニーソという、使ってる要素は同じなのに、実情は壊滅的に違って、脳が混乱する。
目の前に広がるのはベッドに投げ出した、まごうかたなきオッサンの足に、白ニーソという構図。はい。
キモメンに生まれて幾星霜。長い歴史の中でも、こんなにキモイ地獄絵図、見たことない。
ニーソとか絶対領域とかほんと大好物で、これまで付き合ってきた女性に再三お願いしてきたものの、誰一人、俺のキモ夢をかなえてくれる人はいませんでした。
それがまさか、こんな形で夢が叶うとは。
なんでも自己責任、自己解決という、この個人主義時代にふさわしい発想ですね。
これから超、長時間滞在する事になるであろう大部屋は4人部屋で、1人は空いてたので3人が同室で過ごす事になる。
前回の入院時にも2人の同室者がいたんだけど、かなり特徴的な2人であった。
1人は老人。
常に大イビキで寝てて、それはそれでうるさくて困るんだけど、たまにそのイビキ止まって、今度は逆に心配になってくる方が1人。
もう1人は男子高校生。
こいつが戦後最大クラスの大問題児で、しょっちゅう仲間が見舞いに来て病室でワイワイやりやがるんですよね。
いや、俺はね、あくまでも「見舞いは談話室で」というルールを破り、病室で騒ぐ彼らが良くないと言っているだけです。決して全然そんなに、妬ましいとか羨ましいとかでは断じて無く、妬ましいとか羨ましい。その間俺はカーテン締め切って、ひとりぼっちでDSでテトリスしてましたからね。なにこの格差社会。
しかもその仲間の中には、女子も何人かいやがりましてね。ふざけんな病院送りにするぞボケ。
というわけで部屋に落ち着きまして。
まず、今の右膝の状態はといいますと、膝はアイスノン的なもので冷やしつつ、それごと包帯でぐるぐる巻きにされています。包帯のあちこちから、黒くて硬い糸が、所々はみだして見えています。もちろん、じんわりと痛いです。
膝はほとんど動かせませんが、伸ばしてさえ居ればそれほど痛くないので、ベットから降りる時は、左足を右足の下に差込み、持ち上げて、右膝は伸ばしたままの状態をキープしつつ、ゆっくり地面に下ろす、という方法で動く事ができます。
移動は松葉杖です。これで通算3回目の松葉杖生活。もはやベテランの域。
そしてここからは、公序良俗に反する文章になるのですが。
特筆すべきは、ニーソです。ニーハイソックス。
心配してください。履いてます。
術後の血行を促すためだとかなんとかいう理由で、白いニーソをはかされてます。
俺の知ってる「ニーソをはいている足」ってのは、こんなだと思うんですが。
足とニーソという、使ってる要素は同じなのに、実情は壊滅的に違って、脳が混乱する。
目の前に広がるのはベッドに投げ出した、まごうかたなきオッサンの足に、白ニーソという構図。はい。
キモメンに生まれて幾星霜。長い歴史の中でも、こんなにキモイ地獄絵図、見たことない。
ニーソとか絶対領域とかほんと大好物で、これまで付き合ってきた女性に再三お願いしてきたものの、誰一人、俺のキモ夢をかなえてくれる人はいませんでした。
それがまさか、こんな形で夢が叶うとは。
なんでも自己責任、自己解決という、この個人主義時代にふさわしい発想ですね。
今回の手術ですが、右足(膝)だけの手術なので、麻酔は2パターンから選べました。
部分麻酔と、全身麻酔です。
部分麻酔のほうが、全身麻酔と比較すると危険度は低いし、麻酔から覚めた後の体調も良いしで、大抵の人が部分麻酔を選ぶそうな。
そう先生に提示された後、光の速さで全身麻酔を選択。
だってさー。
部分麻酔って、要は自分の足が、切った張ったの世界に誘われて、文字通り斬ったり貼ったりしている様子が丸見えなわけでしょ。何その拷問。
中学の保険体育で、心臓の仕組みみたいなのの授業を受けてたら、気持ち悪くなってそのまま気絶した事もあるような、気絶力に定評のある俺が、そんなもん目の当たりにして意識を保てるとでも?絶対無理でしょ確信してる。
部分麻酔のはずが、手術中にセルフ全身麻酔になってしまう未来が容易に見える。
というわけで全身麻酔で手術は始まる。
全身麻酔と言っても、こちらサイドは特に何もする事も無く、元々入ってる点滴の管から、麻酔を注入されるだけ。
点滴の針が刺さっているところが痛くなってきたら、麻酔が効いてきた証拠とか言われて、そんなもんかと待ってると、すぐさま、じわじわ痛くなってきた。
どんどん痛くなってきた。
いや、ちょっと呻くぐらい痛いんですけど?まだ落ちないの?
普段は、気軽にホイホイ気絶するくせに、こんな時だけ耐えるとか、俺性格悪すぎでしょ。
とか考えたのが最後。
部分麻酔と、全身麻酔です。
部分麻酔のほうが、全身麻酔と比較すると危険度は低いし、麻酔から覚めた後の体調も良いしで、大抵の人が部分麻酔を選ぶそうな。
そう先生に提示された後、光の速さで全身麻酔を選択。
だってさー。
部分麻酔って、要は自分の足が、切った張ったの世界に誘われて、文字通り斬ったり貼ったりしている様子が丸見えなわけでしょ。何その拷問。
中学の保険体育で、心臓の仕組みみたいなのの授業を受けてたら、気持ち悪くなってそのまま気絶した事もあるような、気絶力に定評のある俺が、そんなもん目の当たりにして意識を保てるとでも?絶対無理でしょ確信してる。
部分麻酔のはずが、手術中にセルフ全身麻酔になってしまう未来が容易に見える。
というわけで全身麻酔で手術は始まる。
全身麻酔と言っても、こちらサイドは特に何もする事も無く、元々入ってる点滴の管から、麻酔を注入されるだけ。
点滴の針が刺さっているところが痛くなってきたら、麻酔が効いてきた証拠とか言われて、そんなもんかと待ってると、すぐさま、じわじわ痛くなってきた。
どんどん痛くなってきた。
いや、ちょっと呻くぐらい痛いんですけど?まだ落ちないの?
普段は、気軽にホイホイ気絶するくせに、こんな時だけ耐えるとか、俺性格悪すぎでしょ。
とか考えたのが最後。
はい。
甲子園風に言うと、8年ぶり2度目の入院生活を決めました。
改めて思ったけど手術&入院て、めちゃくちゃ面倒くさい。
当然のことながら、入院期間は行動が大幅に制限されるわけだけど、面倒なのはそれだけではないんですよね。
まず、仕事の事です。
次に...
あ、他には無かったわ。
まず、手術の1日前に入院しておく必要が在ると言う事で、前日朝から入院しました。
前回、入院中にアレもコレもやろうと、亡命すんのかってくらいの荷物を持ち込んだものの、高熱と痛みに耐えるだけの肉と化し、結局手付かずのままだった経験を活かし、ほとんど物は持ち込まず。
ただし会社から当然のように、仕事用ノートPCは持たされる。
むしろ、これが一番の大荷物でした。
手術後は歩けなくなるので、松葉杖も借り受ける。
ン十年前に、バイクでトラックにノリツッコミして、病院送りにされた時に使って以来の再会。
前の入院前にも、こんな時間があったと思うけど、その時と同じ事思った。
暇。
暇なのに、流れ作業のように時間になると食事だけが出くる。
執刀医が説明に来たり、書類手続きしたりと、一応何回か用事はできるものの、それぞれ数時間おきと言う、贅沢な時間の使い方。
そしてこの、病院と言う空間。
やっぱあれだね。何かをやろうという、活力が奪われるね。
仕事をする気にもなれず、ただダラダラするだけの肉となりはてる。
そんな調子で夜を迎え、ようやく手術室に。
つづく。
甲子園風に言うと、8年ぶり2度目の入院生活を決めました。
改めて思ったけど手術&入院て、めちゃくちゃ面倒くさい。
当然のことながら、入院期間は行動が大幅に制限されるわけだけど、面倒なのはそれだけではないんですよね。
まず、仕事の事です。
次に...
あ、他には無かったわ。
まず、手術の1日前に入院しておく必要が在ると言う事で、前日朝から入院しました。
前回、入院中にアレもコレもやろうと、亡命すんのかってくらいの荷物を持ち込んだものの、高熱と痛みに耐えるだけの肉と化し、結局手付かずのままだった経験を活かし、ほとんど物は持ち込まず。
ただし会社から当然のように、仕事用ノートPCは持たされる。
むしろ、これが一番の大荷物でした。
手術後は歩けなくなるので、松葉杖も借り受ける。
ン十年前に、バイクでトラックにノリツッコミして、病院送りにされた時に使って以来の再会。
前の入院前にも、こんな時間があったと思うけど、その時と同じ事思った。
暇。
暇なのに、流れ作業のように時間になると食事だけが出くる。
執刀医が説明に来たり、書類手続きしたりと、一応何回か用事はできるものの、それぞれ数時間おきと言う、贅沢な時間の使い方。
そしてこの、病院と言う空間。
やっぱあれだね。何かをやろうという、活力が奪われるね。
仕事をする気にもなれず、ただダラダラするだけの肉となりはてる。
そんな調子で夜を迎え、ようやく手術室に。
つづく。